福祉業界では退職金トラブルが発生しないために就業規則の規定と周知が重要
福祉業界で従業員を雇用するときには、もし辞めるときの退職金などの規定を事前に就業規則に定めておくことが必要です。
介護の仕事は離職率も高く、雇用しても数年で辞めてしまうことはめずらしくありませんが、そのときに退職金を巡り労使間でトラブルが起きてしまうこともありますので注意してください。
就業規則に規定することは退職金だけではない
そもそも就業規則とは、職場の服務規律や労働条件などを規定するものです。
雇用する職員が無期契約なのか有期契約なのかにより、就業規則の内容も違ってくるはずなので、労働者に合った内容の就業規則を作成することも必要です。
いずれの場合でも、必ず就業規則に記載しなければならない絶対的必要記載事項、そして規定するなら記載しておかなければならない相対的必要記載事項があります。
絶対的必要記載事項には、
・労働時間
・賃金
・退職
などの事項があります。
それに対し相対的必要記載事項には、
・退職金
・賞与など臨時的な賃金
・労働者負担の食費・作業用品など
・安全衛生
・災害補償
・職業訓練
・表彰・制裁など
などが項目として考えられます。
どれも職員が現場で働く上で適用される労働条件を定めることとなるため、法律や労働組合など協約に反する内容を規定することはできません。もし定めていても、無効になるため注意しましょう。
この就業規則で規定された内容は最低基準なので、労働契約が就業規則を下回ればその部分は無効です。
就業規則で規定されているのに、実態が異なる場合には労働条件を巡った労使間のトラブルが起きることになるため注意してください。
退職金は法律で定められていない
労働基準法には退職金に関する規程がされているわけではありません。
退職金を支払うのであれば、
・適用される労働者の範囲
・退職手当の決定
・計算および支払いの方法
・退職手当の支払い時期
について就業規則に記載し、行政官庁に届出が必要です。
また懲戒解雇した職員に対しては、就業規則に「懲戒解雇事由に該当した場合には、退職金を支給しない」といった定めをしておけば、退職金を支払わなくても労働基準法違反にはなりません。
職員に周知しておくことが大切
就業規則は定めれば終わりではなく、現場で働く職員に周知することが必要であり、いつでもその内容を確認できる状態にしておく必要があります。
現場に掲示するか、どこに保管しているか周知しておき、職員が確認したいときにはいつでも可能となるようにしておきましょう。
書面を職員に交付してもよいですし、電子化してパソコンで確認できるようにしておいても問題ありません。
いずれにしても、職員がいつでも確認できる状態を作っておくことが必要です。