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建設業の競争激化でコロナ関連破たんが増えている問題

2022.06.21
分類:経営

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、経営破たんしてしまった業種をみると、飲食業・アパレル関連に次いで建設業は3番目に多いといえます。

大都市圏で大型再開発や、地方の公共工事の需要を取り込んで景気が良いとされていた建設業界ですが、完工ラッシュでピークアウトも見えた中、コロナ禍による地殻変動が起きたといえるでしょう。

中国の資材製造の混乱で資材調達ができずに工事が停止する事態も発生したものの、20205月の調査で新型コロナの影響を受けていると答えた企業は全業種平均78.7%だったのに対し、建設業は54.4%と10産業中最も低かったはずです。

しかしコロナ関連破たんが増える結果となっており、今後も予断を許さない状況にあるといえるでしょう。

小規模の建設会社の倒産が増加

建設会社の中にはコロナ破たんしてしまった企業もありますが、その中で最も多く見られたのが、受注案件が延期または中止されたことにより事業環境が悪化してしまったことによるものです。

予定していた工事がコロナ禍で中止となり、新たな仕事も受注できずに経営が悪化してしまい、倒産したという小・零細規模の企業のコロナ破たんが特に多く見られます。

 

工事の減少による受注消失と競合激化

建設会社でも大手であればそれほど大きな打撃にならなくても、小・零細規模の建設業者にとって新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きいといえます。

大手と小・零細規模の建設会社では、工事の規模や質に違いがあるからです。

たとえば消費減退によりサービス業や小売業の新規オープンやリニューアル工事需要が減少すれば、内装や厨房設備などを請け負う小規模の工事業者はその影響をすぐに受けてしまいます。

コロナ禍で小規模の工事の取りやめが頻発し、そのシワ寄せを受けたのが小・零細の建設業者です。

さらに今後も工事が減少すると、建設業者同士が限られた席を奪い合うことになり、受注単価のたたき合いが再現されてしまうことも危惧されます。

 

包括的な支援が求められる

大手ゼネコンを頂点として、全国にすそ野を広げているのが建設業界です。

新型コロナウイルス感染が拡大し、小規模業者の経営難が表面化したといえますが、今後は資金の準備などがより厳しくなることも予想されます。

消費や雇用などコロナ禍の影響が長引いてしまうと、建設投資に跳ね返ることとなり、さらに影響を受けることになってしまいます。

二次的・三次的にいろいろな業種に影響が広がっている状況といえますが、直接影響を受けて売上が激減した企業だけでなく、間接的に影響を受けた企業や業界などにも対応できる包括的な支援が求められるところです。