建設業界では、元請けと下請け、さらに孫請けやひ孫請けなど、図面にするとピラミッドのような三角形の請負構造となっています。
ピラミッドの頂点に位置するのはスーパーゼネコンと呼ばれる数社の超大手総合建設会社、その下に全国展開規模の数十社の準大手・中堅とされるゼネコン、そしてその下には地方ゼネコンや中小規模の建設会社という形で構成されます。
建設工事を受注する上で、なぜ元請けは下請け企業に仕事を依頼することになるのか、建設業界特有ともいえるこの請負構造についてご説明します。
建設業界は、時期などにより仕事の量には差が生じます。たとえば東京オリンピックを控え一時的に建設業界は繁忙期となりましたが、今後オリンピックが終われば閑散期となり停滞するのでは…といった不安の声もきかれます。
忙しい時期は多く従業員を抱えていても問題ありませんが、仕事量が少ない閑散期に人件費がかかることはリスクでしかありません。
そこで、多忙な時期には下請け企業に仕事を依頼することで、効率的な経営を図っていることが現在のピラミッド構造を作り上げている理由といえます。
下請け企業を雇用するのは、ピラミッド構造の頂点に位置する大手のゼネコンだけではありません。ゼネコンから仕事を受注した下請け企業も同様に、次の下請け(孫請け)に仕事を依頼します。孫請けもひ孫請けに仕事を発注するなど、それぞれが経営を効率化させるために行われていることです。
建設業で2重3重、おおければ5重といった多重下請け構造ができてしまうのは、人手不足や人件費削減などの問題で人材を常に多く確保し続けることが難しいからといえるでしょう。
建設業界における多重の下請け構造は、仕事を引き受ける企業それぞれが効率的に経営を行う上で欠かせないものとなっています。実際、ビルやマンションなど大きな建物を建設する上でも、この下請け構造がなければ成り立たなくなっています。
ただ、ピラミッドの下位層に位置する下請けほど、発注単価の低下や、売掛金を回収できるまで時間がかかってしまうものです。
そうなると先に発生する資材や材料の仕入れに費用がかかり、代金の回収まで資金難に陥り黒字倒産というリスクが発生する場合もあるようです。
このような事態が発生しないように、仕事を引き受ける上で適正な価格設定となっているか、いつ代金が支払われるのか、前渡しされる資金などの有無などを確認した上で依頼を引き受けるか決めるべきといえます。