建設現場で働く従業員のうち、無断欠勤・遅刻・不正行為などが続いたり社内規律を乱したりといった人物がいる場合、制裁を目的とした懲戒処分などを検討することもあるでしょう。
しかし懲戒処分はどのようなケースでも制裁として実施できるわけではなく、就業規則にその旨を記載しておくことが必要となります。
そこで、制裁として懲戒処分を行う場合に就業規則に明記しておく必要のある内容について解説していきます。
懲戒処分とは、業務命令や社内規定に違反した従業員に制裁を与える意味で不利益措置を取ることです。
対象になるのは会社の秩序を乱す行為をした従業員ですが、具体的に法律でその内容が定められているわけではないため、就業規則で懲戒事由と処分対象となる内容について明記しておくことが必要となります。
従業員を、制裁として懲戒処分とする場合、先に就業規則に懲戒に関する規定を明記しておかなければなりません。
これは労働基準法でも義務付けられていることですが、明記しておく必要があるのは次の2つです。
・懲戒事由
・懲戒の種類
それぞれの内容について説明します。
就業規則には、懲戒事由として次のことを明記しておきましょう。
・職務怠慢(無断欠勤・遅刻過多・職場離脱など勤怠における不適切な行動)
・業務命令違反(時間外労働・休日労働・出張・配転・出向に関する命令への違反)
・職場規律違反(横領・備品類の窃盗・従業員への暴行など)
・経歴違反(最終学歴・職歴・犯罪歴など経歴を偽っての入社)
・犯罪行為(会社の名前を使った詐欺行為など)
就業規則には、懲戒の種類として次のことを明記しておきましょう。
・戒告(書面や口頭で注意し将来を戒める処分)
・譴責(始末書を提出させ注意を促し将来を戒める処分)
・減給(賃金の一部を減らし注意を促す処分)
・出勤停止(一定期間出勤禁止とする処分)
・降格(役職や職位などを引き下げる処分)
・諭旨解雇(自主退社を求める処分)
・懲戒解雇(退職金や解雇予告手当を支給しない解雇処分)
就業規則は、労働基準法で常時10人以上の労働者を使用する使用者は作成し行政官庁に届出することが規定されているため、法的に対象となる場合には就業規則の作成・届出を忘れず行うようにしましょう。
なお、10人未満であれば就業規則の作成・届出の義務は発生しませんが、作成しておいたほうが安心です。