建設業者が仕事の依頼を受けるのなら、仕事を発注する側のタイミングを見逃さないようにしなければなりません。小売業などであれば、店舗に商品を並べ来客を待てばよいですが、建設業者の場合、建設工事の発注者である行政機関などにアプローチしていくことが必要なのです。
ただ、工事の発注は公共工事と民間工事とでは大きく違いがありますので、それぞれどのような流れで発注されるのか確認しておきましょう。
国や都道府県、市区町村など行政機関により、道路や橋など社会資本整備を目的に行う建設工事が公共工事です。
この公共工事の発注の流れは、企画から基本設計、実施設計、積算、公告、入札という経緯をたどります。
公共工事の発注においてはまず資格審査が実施されます。資格審査では、入札競争に参加する建設業者が建設業許可を取得している業者か、経営事項審査を受けているか、税金未納などの有無、欠格要件に該当しないといった部分が確認されます。
資格審査が終われば入札ですが、一般競争入札の場合は公告されることになります。建設業者から提出された申請書や資料をもとに参加資格の有無がチェックされ、その後入札が行われます。
公募型の指名競争入札では、技術資料の作成や提出に関する掲示が行われ、建設業者から提出された資料について審査が実施されます。その後、指名通知から入札という流れです。
工事希望型の指名競争入札では、建設業者から提出された技術資料の審査が行われた後で指名通知されて入札が行われます。
なお、指名競争入札では有資格者登録名簿から指名通知が行われ入札という流れで、入札内容や金額などで契約する建設業者が決定され、建設工事が発注されるという形です。
民間工事は発注される工事の内容により、その流れは異なります。ただし、おおまかには次のような流れになるといえるでしょう。
①設計業者を選定
②設計監理業者による設計と積算業務の実施
③見積もり依頼業者の選定(設計監理業者と協議後5社程度選定)
④見積もり
⑤設計監理会社・候補企業と協議・交渉
⑥契約と工事の発注
これまでの工事例から、おおよその目標金額が設定された上で、設計監理会社と協議しながら価格設定が行われます。仮に予算より高い金額の提示があった場合は、より見積もり金額の安い建設業者を競争させながら価格を下げることが一般的です。
公共工事と民間工事では、工事が発注されるまでの流れは異なりますので、選ばれるためにもしっかり内容を把握しておくようにしましょう。