劇場などの改修工事を行う場合には、事前にしっかりと計画を立てておくことが需要となります。
自治体などの公共建築マネジメントや社会情勢なども踏まえながら、どのような施設の形を目指すのか方向性を計画にしておき、地域においての位置づけを確認しておくことも必要です。
改修工事を行った後は、何年くらい劇場を維持・保全していくのかも考えておくべきといえるでしょう。
公立の劇場やホールなどは、施設を建設する当初はいろいろな議論が行われ、やっと実現して今があるのかもしれません。
ただ、時間が経過すれば劇場やホールを利用する内容や年齢構成などにも変化がみられることとなるでしょう。
施設利用している団体や観客、事業や舞台を担当するスタッフ、警備員、清掃員などがこれまで直面してきた問題などの情報を収集し、改修したほうがよい部分や範囲を明確にしてくことが必要です。
新しく建物を建てるのではなく、改修工事を行う場合には前もって予測できない事態が起きることもあると認識しておくべきです。
仕上げや設備などに隠れて見えていなかった部分も出てくるでしょうし、図面と一致していないなど調査を行ってもわからなかったことが数多くあらわれる可能性もでてくるでしょう。
これら予想できない事態をある程度見込んだ上で、もし追加工事が必要になったらどうするのかなど検討した上で、工事を遅滞なく進めていく対策を講じる必要があります。
ただ、劇場側も設定している予算があるはずです。追加工事が必要となり、予算内に費用をおさめることができなくなれば問題ですので、時間がかかっても事前調査を行ってもらうことや、その後の設計において漏れのないよう書面化して工事入札に臨んでもらうことが必要といえます。
変更や追加工事が必要になったときには、議会の議決を必要とせず専決処分可能な範囲にとどめるなど、工事の規模や内容に対する工夫も必要といえます。
改修計画から工事までに必要な調査、設計、監理まではできるだけ一貫して行うことができる筋道を整備していくことが望ましいといえます。
基本設計や実施設計、監理などそれぞれを担当する組織が異なっていたり、監理は自前で行ったりという場合、作業が進まなくなったり後戻りしなければならなくなったりという問題が発生する可能性があります。
大規模な改修工事の場合、劇場を長期休館しなければならなくなるでしょうし、予算も確保しなければならなくなるはずです。
日頃から問題点を抽出しておき、どこを改修するべきか優先順位をつけ、短期、中期、長期と期間ごとの計画を作って実行したほうがよいでしょう。