事業活動において発生するお金の流れやその結果である増減をキャッシュフローといいますが、建設工事を請け負う業者でもキャッシュフローを知ることで経営評価ともいえる利益を判断する基準とすることができます。
お金の流出入を重視した経営手法をキャッシュフロー経営といいますが、これは資金の最大化を常に指標とし、意思決定を進めていく基準のことです。
建設業などは工事の特性上、資金繰りが悪化しやすい業種として挙げられるため、キャッシュフロー経営を意識・実施していくとよいでしょう。
建設工事にはいろいろな種類がありますが、住宅やビルを建築する工事や道路やインフラを整備する工事など、いずれも工事期間は数か月に及び長期化しがちです。
工事を請け負っても、売上代金が入金されるのは建築物などが完成してからのため、それまでの期間は立替が必要となってしまいます。
仮に支払いに手形が用いられると、現金として受け取るまでの期間はさらに長くなることでしょう。入金がなくても仕入れた材料代の支払いは必要ですし、従業員に対する給料なども発生します。この立替期間が長めに設定されている場合や、手形での受け取りが多いケースでは、資金繰りが悪化しやすい状況にあるといえるでしょう。
売上は計上されていて利益は出ているのに、「勘定合って銭足らず」という言葉通り、手元にお金がなく資金ショート寸前というギリギリの状態で事業を続けている建設業者もあります。
建設業の場合には、勘定も合わず手元にお金もないという会社が多いので、倒産を防ぐためにもキャッシュフローを意識した経営が必要です。
キャッシュフロー計算書で現金の流れを常に把握し、現預金残高を大きくする経営とも言い換えることができますが、そもそもキャッシュフロー計算書は上場企業だけに作成が義務づけられています。
しかしキャッシュフロー計算書により、営業活動によるキャッシュフロー・投資活動によるキャッシュフロー・財務活動によるキャッシュフローを把握できますので、中小企業でも作成するべきです。
特に営業活動によるキャッシュフローを意識することは体制で、別途、資金繰り表の作成で手元の資金を枯渇させないことが必要となります。
直近や1か月先程度の資金計画ではなく、3か月から半年先までの資金計画を立てておき、日繰り表も日々付けるとより安心です。把握できている範囲で、できる限り先の予定を入れておくことで、おおよその金額と支払時期が確認できます。
支払いのタイミングになって慌てないように、キャッシュフローを意識した経営を心掛けるようにしてください。