2020年6月の東京都での元請と下請を合わせた建設工事の受注額は2兆3千40億円でした。この金額は前々月から増加していますが、2019年6月と比べれば15.3%少ない割合となっています。
各月を2015年から2019年という過去5年間の平均値でみたとき、東京都の元請と下請を合わせた建設工事受注額は最も多い3月と最も少ない1月を比較すると、半分以下という減少ぶりです。
6月は3月の6割ほどとなり、6月から1~2か月先の7月~8月の東京都における元請と下請を合算した建設工事受注額は、6月よりも減少しているといえます。
2020年4月中旬まで、清水建設や鹿島建設など主要建設会社は工事を中断していました。これは新型コロナウイルス感染拡大を受け、工事を一時的に中止するしかなかったからです。
大林組などは政府の緊急事態宣言が延長されたことに合わせて、工事の中断期間を延長するという対応を行いましたが、清水建設や鹿島建設などは工事再開に向けて動いたのです。
実際、緊急事態宣言は5月6日までという予定でしたが、それが31日まで延長されました。
4月に工事の中断を公表していた主要建設会社は、中断の対象を6日までに設定していたようです。しかしこのままでは雇用確保や経済活動維持ができないと判断し、工事を進めることも重要と判断して現場を稼働させることを決めたという流れになりました。
その後、戸田建設や西松建設、熊谷組や奥村組などが工事を再開させる方針を打ち出したようです。鹿島建設に至っては、もともと工事の中断期間は延長しないと言っていましたが、他の建設会社は協力会社においての雇用を確保することを工事再開の理由として挙げていたようです。
それぞれの建設会社は、工事の中断期間中も作業員に休業補償を行うといった取り組みも行っていました。賃金を100%補償していた建設会社もあるので、工事の中断期間が延長されれば負担は増えたはずです。
1か月程度なら耐えることができたとしても、工事は進まない、補償はしなければならないという状況がいつまで続くかわからないとなれば、会社の存続にも影響することとなります。
新型コロナウイルスの感染拡大により、建設業界は工期の延期や中止などにより影響を受けることとなりました。
さらに2020年に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックも2021年に延期されることとなるなど、様々な状況が変化しています。
新型コロナウイルスの感染拡大により、オリンピック需要は落ち着きをみせたといえますが、リニア中央新幹線の開通工事に東京の下水・首都高速の再整備、5G通信といったインフラ再整備などで需要は高まりつつあります。
さらに大阪万博やインバウンド施設など、需要は今後も高まると考えられるため、コロナ禍の中でどのような働き方になることを検討していくことが必要です。