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物流業界が気になる運輸・倉庫の景気動向と新型コロナの影響は?

2020.11.12
分類:経営

新型コロナウイルスの影響により、物流業界の景気動向について気になっている経営者も少なくありません。202063日に帝国データバンクが発表した、11,979社の回答をもとにした5月の景気動向調査を確認すると、運輸・倉庫の景気DIは前月から0.3ポイント上昇となり6か月ぶりに回復の兆しを見せていました。

しかし景気DI全体で見た場合には8か月連続悪化しており、特に製造業などは13か月連続悪化している状態でした。物流業界が注目する運輸・倉庫業も、数値そのものは低いですが昨年より上昇傾向を見せています。

本当に物流の景気は安心?

物流の景気は安心できると考えてしまいがちですが、この運輸・倉庫業には旅客運輸も含まれています。そのため物流単体で判断するときには注意しなければなりません。

緊急事態宣言が発令されたことにより、飲食・旅館・ホテル・娯楽サービス・教育サービスなどは外出自粛要請による影響が大きかったといえます。

運輸・倉庫業の景気DIも、緊急事態宣言が解除されたことで旅客運輸が回復の兆しを見せ、その数値が織り込まれ上昇傾向を見せたと判断したほうがよいでしょう。

さらに物流が注目する製造・卸売・小売などの業界は多くが悪化しているものの、繊維・繊維製品・服飾品などの製造・卸売、飲食料品・再生資源・家具類・家電や情報機器の小売などの業種については外出自粛による消費増加で小幅ながら回復を示しています。

ただしこれは一時的なもので、今後は低調な推移が続くことが見通されているようです。

 

JR東日本で在来線特急に物流がコラボ

そしてこのままでは景気回復につながらないと、202093日、JR東日本は新幹線を活用した物流サービスを在来線特急列車に拡大することを発表しています。

JR東日本は2017年度から、新幹線物流に取り組んでいました。サービス拡大を段階的に行うという方針を打ち出し、列車の駅間輸送だけでなく、物流企業と連携した宅配などの業務にも乗り出すことを予定しているようです。

その先駆けとして、9月からは在来線特急である「踊り子」などを活用し、東京まで地方産品を輸送し東京駅と品川駅で鮮魚販売を行うとしています。それにより短距離輸送や販売先拡大が見込めるなど、荷主や地域ニーズに対応していく形です。

将来的に輸送量が拡大されることを見込み、荷主のニーズに応じて対象とする列車も増やすなど、定期輸送への対応とする方針のようです。輸送方法も今後様々な方法で構築され、列車の速達性を活かし電子部品なども対象とするなど、商品拡大でグループ枠を越えた物流サービスを提供するとしています。