建設業者が公共工事への入札に参加する場合、審査基準日(決算日)での経営状態や規模などについて客観的に評価してもらう審査のことを経営事項審査(経審)といいます。
経審を受けると「総合評定値通知書」を取得し、記載される評点(総合評定値)に基づいてランク付けを行います。
ランクに応じて参加できる公共工事の発注予定価格の範囲が決定しますが、官公庁ごとに基準が異なります。
経営事項審査は建設業者としての実力を点数化することなので、発注する工事の規模に対応できるかを図るために用いられます。
経営事項審査を受ける前に、まずは建設業許可を取得することが必要ですが、建設業許可を受けた後、決算日から4か月以内に決算変更届を行政庁に提出します。
決算変更届で必要となった財務諸表を経営状況分析機関(国土交通省に認可を受けた民間法人)に提出して点数化してもらうのです。
登録機関から後日、経営状況分析結果通知書が届くので、許可を取得している役所に経営規模等評価申請書を添付して提出し、後日結果が届きます。
届いた結果通知書は数字が羅列されて記載されていますが、注目したいのは「総合評点(P)」です。この点数を基にランク分けされますが、
0.25 X1 + 0.15 X2 + 0.2 Y + 0.25 Z + 0.15 W=総合評定値 P
・X1 業種別完成工事高
・X2 自己資本額・平均利益額
・Y 経営状況分析(財務諸表の点数)結果
・Z 業種別の技術職員数・元請完工高
・W 労働福祉・営業年数などの状況
という計算式で算出されたものです。
なお、最高得点は2,136点、最低得点は281点で、約700点が平均となり、中小の建設業者で1,000点を超えることは困難かもしれません。まずは800点を目指しましょう。
経営事項審査は、審査基準日(決算日)から1年7か月が有効期限ですので、決算日後に準備を進めることになります。
どれだけスムーズに手続きを行っても、決算日から4か月はかかることになりますので、余裕を持って手続きを始めることができるようにしておきましょう。
なお、経営事項審査の結果が届けばすぐ公共工事の入札が可能となるわけではなく、入札にも種類があり、どの工事に対する入札に参加するのか、入札金額はいくらにするのかなど決めなければなりません。
最低価格ばかりの入札で、工事を行っても儲けがでないと感じられることもあるかもしれませんが、たとえば参加資格をクリアすることで参加できる一般競争入札で落札し、工事を行った実績を作れば、今度は役所が業者を数社指名する指名競争入札に参加できるようになるかもしれないと考えるようにしましょう。