建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設工事だけではだめ?建設業界は今がビジネスモデルの転換のとき?

2020.11.11
分類:経営

活況を呈する建設業界だがポストオリンピックに向けた業界の構造変化の動きが本格化しつつある

日本の建設業界は、バブルが崩壊してから長く不動産市況が低迷することとなり、公共事業も削減されるなど長期的に低迷していました。

しかし現在では低迷から脱し、過去最高といえる業績をあげる上場企業も増えています。

ただその一方で、長期に続いた不況で若年層の就労者が減少することとなり、55歳以上の就業者の割合が5割を超えるといった高齢化が進んでおり、様々な部分で転換を求められている時期といえるでしょう。

長期的にみれば市場縮小は避けられない

東京オリンピック需要が落ちついた後も、大都市中心部の再開発事業などにより、建設業界への需要はとどまるところを知らないと感じる方もいることでしょう。

しかし、人口が減少している日本では、長期的にみれば市場縮小は避けて通ることはできないと考えられます。

大手では対応策として、海外事業を拡大させることや異業種への参入、非建設事業の強化など、収益基盤を多様化させることに取り組みを行っている状況です。

それに加え、AIなど最新技術を実用化させようという動きもあります。

しかしいずれも大手では対応できることでも、中小では資金力に限界があり、できることは限られているといえます。

 

人口減少と高齢化は日本全体が抱える課題

日本はこれから人口減少と高齢化により、人の量と質が変化することを改めて認識することが必要です。

大都市では国際競争力を維持させることが難しくなり、地方都市でも存続が危ぶまれることになります。

健全なインフラと自然環境の保持、伝統や文化・風土などまで維持させることは困難になることが予想されるのです。

これらの社会課題を解決する方法として、今話題になっているのがIoTを駆使したスマートシティです。都市変革の手段として、注目を集めています。

 

強みを活かし価値が認められるビジネスの再設計を

建設業はこれまで、設計・施工・管理などに関与しながら、インフラ整備や建築物に関するノウハウや技術、多様なプレーヤーとのネットワーク、行政や地元住民とのコミュニケーションなどのプロセスや強みを築いてきました。

このプロセスがいろいろな利害関係のあるもの同士を連携させ、スマートシティプロジェクトに活かされることになります。

都市インフラや建築物なども量から質というニーズに転じると考えたとき、量を補う建築に重点を置いていた建設業はビジネスモデルの転換を迫られることになります。

請け負うだけでなく、自社の強みを活かし社会課題に応え、価値を認めてもらえるかビジネスを再設計していかなければならないということです。

国を挙げてスマートシティに取り組もうとしている中、建設業でもビジネスモデルを転換させる決断のときなのかもしれません。