新型コロナウイルスの影響でリ―マンショックのとき以来の景気悪化といわれる状況になっていますが、大規模災害発生などを原因として売上・生産量が減少してしまった建設業者もあることでしょう。
工事を担当する従業員を雇用し続けることが難しくなった業者もあるでしょうが、それでも従業員の雇用を維持することを目的として休業させたときには雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)を活用できます。
雇用調整助成金は新型コロナウイルスの影響で新たに設けられた制度ではなく、従来からある制度ですのでその内容をご紹介します。
一時的に休業したときに支払った休業手当や、休業中訓練を行ったときの教育訓練費用、出向による手当や賃金の一部が助成金として支給されます。
大企業を対象とした雇用調整助成金は支払った金額の3分の2、中小企業を対象とした中小企業緊急雇用安定助成金は5分の4という割合です。
従業員の解雇をしない場合は、助成率が大企業は4分の3、中小企業は10分の9へ上乗せとなり、上限は一人あたり1日7,890円となっています。
雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)は、次の要件を満たす中小企業であることが前提です。
・小売業(飲食店含む)…資本金5,000万円以下または従業員数50人以下
・サービス業…資本金5,000万円以下または従業員数100人以下
・卸売業…資本金1億円以下または従業員数100人以下
・その他の業種…資本金3億円以下又は従業員数300人以下
その上で申請するためには、次の経営指標の基準のいずれかに該当することが必要とされています。
・売上高また生産量などの最近3か月間の月平均値が直前3か月または前年同期比5%以上減の場合(中小企業緊急雇用安定助成金は直近の決算の経常損益が赤字なら5%未満減でも申請可)
・円高の影響で売上高や生産量などの回復が遅れている場合(生産量等の最近3か月間の月平均値が3年前の同期比15%以上減に加え、直近の決算の経常損益が赤字であれば申請可)
さらに新型コロナウイルスの影響を受けたことで、生産指標要件が1か月5%以上低下して従業員に休業手当を支給し休ませたときの助成率は大企業3分の2、中小企業5分の4としています。
ただ、解雇などせずに雇用を維持している場合は、大企業は4分の3、中小企業は10分の10となり、上限も1人あたり1万5000円まで支給されます。対象は2020年4月1日から9月30日の期間中に行った休業や教育訓練でしたが、対象期間は12月末まで延長すると発表されています。