建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

工事現場で派遣行為は禁止?請負と区別されるその基準とは

2020.12.19
分類:経営

工事現場で人手不足にならないためには、複数の建設業者が協力しつつ作業員を現場に送り込むことも行われています。しかしこのような派遣行為は違法とみなされるリスクを高めるため、建設工事現場で禁止されている派遣行為について知っておくようにしましょう。

建設現場への派遣は違法な行為となる?

建設業務とは建築工事現場において、土木・建築・その他工作物の建設・改造・修理・保存・変更・破壊もしくは解体作業・またはこれら準備の作業に係る業務のことを指しています。

自社の従業員を他の建設業者が請け負う現場に、他の要請で働かせるときとは次のいずれかの状況が考えられますが、その行為が派遣となるかによって違法と判断されることがあるため注意が必要です。

労働者供給

供給契約にもとづき他人の指揮命令を受ける状態に労働者をおいて、労働に従事させるものの労働者派遣には含まれないケース

労働者派遣

雇用している労働者を雇用関係のもとで他人の指揮命令を受けさせ、他人のために労働に従事させるケース

請負

一方の当事者が仕事を完成させることを約束し、その相手が他の仕事の結果に対し報酬を支払うことを約束すること

 

法的に問題ないのは請負のみ

3つのケースのうち、建設業者が他の業者の建設現場に自社の労働者を送り込む場合、法的に問題がないと判断できるのは請負のみです。

労働者派遣法は労働者派遣に関する法律を規定していますが、建設業務は労働者派遣事業を行ってはならないと定めています。

建設業務とは先に述べたとおり、土木・建築・その他工作物の建設・改造・保存・修理・変更・解体などの作業です。

これらの業務を労働者供給や派遣で行うことは、労働者派遣法に違反する行為とされます。

請負契約である場合でも、実態が派遣なら偽装請負とされますので注意しましょう。請負契約は工事が完成後に報酬が支払われるものであり、仮に契約内容が単なる労働力提供であれば表題が請負契約である場合でも請負とは認められません。

 

派遣か請負かどのように判断すればよい?

労働者派遣となるのか、それとも請負と認められるかは、労働の指揮命令は誰が行っているのか、誰の指揮・管理のもとで働いているかによって判断します。

建設現場で自らの責任で従業員に対し、業務上、指示や管理を行っているのなら請負となるでしょう。

しかし建設現場で他の業者の指揮・命令のもとにあるのなら労働供給に含まれ、派遣行為と判断できます。

単に形式で判断するのではなく、契約条件や専属度、収入なども含めながら総合的に判断することになりますので、実態が労働供給に該当すれば違法と判断されることもあると留意しておいてください。