たとえばマンションの大規模修繕工事の見積もりを依頼され、提出したものの工事見積書にある諸経費とはどのような費用なのかたずねられたことはないでしょうか。
工種ごとに見積もりを記載し、最後に諸経費という項目で記載したものの、諸経費が大きい場合には何にかかる費用なのかと問い合わせを受けることもあります。
そのような場合、諸経費としてどのような費用が含まれるのか、どのように説明するべきなのでしょう。
工事見積書に記載される費用には、材料費や労務費、運搬費など直接工事にかかる費用だけでなく、工事のマネジメント費用など諸経費も含まれます。
諸経費として挙げられる費用の中には、現場管理費と一般管理費などがあり、そのうち現場管理費には元請の現場監督員にかかる人件費や交通費、工事に関連する保険料や現場事務所の雑費などが含まれます。
一般管理費として含まれる費用には、建設業運営に必要となる営業担当や経理担当・総務担当や役員など現場監督以外の人件費、家賃・光熱費・税金・事務用品費・減価償却費など様々な経費が含まれているといえるでしょう。
平成25年からは法定福利費(雇用保険料・健康保険料・厚生年金保険料などのうち事業主が負担する分)も工事見積書に明示することが推奨されていますので、法定福利費も諸経費として計上することもあります。
施工会社によって諸経費も異なるでしょうが、それは現場監督として配置する人員の数が違うことや、加入する保険の方法、一般管理費の総工事費に対する割合などが違ってくるからです。
さらに見積もりを提出するときには、自社を選んでもらおうと金額を少し下げ、調整することもあるため施工会社により差が発生します。
建築工事の諸経費は、工事の種類や規模などによって違いは出るものの、直接工事費の10~15%ほどがおおよその目安と考えられます。
この割合は、直接工事費に対する各種管理費の割合で算出することになりますが、設計事務所の売上には工事費や原材料などが売上原価として発生しないことから、直接人件費に対する一般管理費の関係に近いものとなります。
そのため諸経費率は定率ではなく業種によりいろいろで、設計事務所であれば100%前後となる点も留意しておきましょう。