建設業の資金繰りは大変といわれることが多いですが、特に下請け企業として仕事を請け負っている会社の場合、工事代金の入出金のズレや手形取引の多さなどで困難な状況に陥りやすいといえます。
建設業界は重層下請け構造により、施主から元請けへ仕事が依頼され、さらに元請けから一時下請けへと仕事が割り振られます。
そこからさらに、二次、三次へと次々に下請け企業へと仕事の請け負いが行われるため、工事代金の入金時期は下請け企業になるほど遅くなってしまうものです。
これが建設業の資金繰りを難しくさせている大きな理由といえるでしょう。
下請け企業へと次々に仕事の請け負いが行われていくのは、建設業界特有の流れといえます。ただ、工事に必要な労務費や建設資材調達費などは、工事が行われている途中でも必要となり、まだ報酬が入金されていない状態で多くの出費がかさむ状態となります。
公共工事であれば、公共工事前払い金保証制度などがあるものの、工事代金の一部の保証にとどまる上に、元請よりも下の階層の業者はその恩恵を受けることができない場合が多いため資金繰りに困窮しがちです。
現在では手形を用いた取引は少なくなったといわれていますが、建設業界ではまだその慣習が残っており、手形取引によって資金繰りを難しくさせているとも考えられています。
手形は工事代金の受け取りに利用されますが、期日にならなければ現金化されません。
国も中小企業の資金繰りを改善させようと、すべての産業において手形取引を減少させようとはしています。
しかし建設業界は、製造業や卸売小売り業に次ぐ手形取引額の多さで、下請け比率が上がれば手形での工事代金の受け取り率が増える傾向がみられます。
下請け企業ほど手形による取引を強いられることとなり、資金繰りが悪化してしまうことが多いといえるでしょう。
公益財団法人 建設業適正取引推進機構の建設業取引適正化センターでは、土日祝日を除く朝9時30分から夕方17時まで、建設工事の請負契約をめぐる元請け・下請けとの間での苦情やトラブルの相談を受け付けています。
もし元請けと下請けとの取引で困ったことが起きてしまったものの、どうすればよいかわからないというときには相談してみるとよいでしょう。
あっせん・調停・仲裁など紛争解決手続きは行ってもらえませんが、希望する場合には建設工事紛争審査会の紛争処理機関を紹介してもらえます。
相談指導員については、センター東京とセンター大阪では、弁護士・土木の専門家・建築の専門家などに無料で相談することができます。