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中国の資材製造が原因?建設業のコロナ関連破綻が増勢に

2021.06.21
分類:経営

2021年に入ってから、新型コロナウイルス関連破たんが負債額を問わなければ1,000件を突破してしまいました。

中でも負債1,000万円以上の破たんは28日時点で980件となっており、建設業者の破たんも目立っています。

これには新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた中国の、資材製造が停止したことなども関連していると考えられます。

新型コロナで建設業界も大きく変化

新型コロナウイルス関連による経営破たんした業種を見ると、飲食業・アパレル関連と製造販売に次ぎ、建設業は3番目に多くなっています。

宿泊業もインバウンド消失など破たんが続出しましたが、それよりも多い件数です。202012月には最多となる19件が破綻するなど、増勢しているといえるでしょう。

大都市圏では大型の再開発が進み、地方では公共工事の需要など、これまで建設業界は順調といえました。

震災復興や東京オリンピックなど需要の高まりを見せてはいたものの、完工ラッシュを迎えたことでピークアウトが見えてきたといえます。

その中でコロナ禍が巻き起こり、建設業界に大きな変化をもたらしてしまったようです。

 

中国の資材製造混乱の影響

もともと新型コロナが直撃し売上が消失したのは飲食業・小売業・観光産業などですが、建設業の影響はそれほど大きくありませんでした。

当初は中国の資材製造が混乱したことで、建材の調達ができず工事が進まなくなるといった事態も起きましたが、中国が落ち着いたことでそれも沈静化したといえます。

しかし受注案件の延期や中止などで、事業環境の悪化を避けることができなかったのは小規模の建設業者です。

予定していた工事が中止され、新規の受注も獲得できず経営悪化となってしまったケースがほとんどといえます。

5億円未満の負債総額が9割を占め、従業員10人未満が約8割であるなど、小・零細企業が圧倒的に多いことが特徴です。

建設業の事業環境だけが激変したわけではありませんが、今後、工事案件が減少すれば業者同士の奪い合いがさらに激しくなることも予想され、受注単価のたたき合いが再び始まることも危惧されます。

 

様々な業種へ包括した支援が必要

新型コロナ感染拡大から1年経った今、末端の小規模業者の経営難が表面化したといえますが、金融機関もリスケジュールには応じても過剰債務の企業に新規で融資を行うことはないと考えられます。

次第に規模の大きい業者へと影響が及ぶことも考えられ、建設投資にもいずれ跳ね返るここととなり、多くの建設業者に影響してしまう可能性も否定できません。

直接売上が消失した企業だけでなく、様々な業種や業界に対し、包括して支援することが必要になっているといえるでしょう。