建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設技術者の雇用を成功させるために必要なこととは?

2021.06.22
分類:経営

2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、建設技術者の雇用情勢も悪化傾向にありました。

現在も収束していない新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、今建設業界はさらに厳しい状況になっているといえます。

全体の有効求人倍率は減少しているものの建設業は増加

仕事を求めている1人に対し、企業から何人の求人があるかを示すのが有効求人倍率です。

20213月時点の有効求人倍率は1.10倍で、前月よりわずかに上回ったものの、厚生労働省は3度目の緊急事態宣言により求人減少傾向は続くとしています。

全国のハローワークに出された企業からの求人による有効求人数は、前年同月と比較すると10%減少しています。

15か月連続で前年同月より減少している状況であり、新規求人で前年同月より減少したその割合を産業別で見ると、

・生活関連サービス業・娯楽業…14.8

・卸売業・小売業…12.6

・情報通信業…11.0

・宿泊業・飲食サービス業…6.0

となっていました。

その一方で、建設業は16.3%、製造業は8.5%増加しています。

産業により、求人状況の違いが大きくなっているといえますが、有効求人倍率が前年度より0.45ポイント下がったのは、オイルショックの影響を受けた1974年度に次いで2番目に大きい下がり幅です。

再び感染が拡大しており、今後の先行きも不透明となっている状況といえますので、建設業でもこの状況を理解し、人材獲得に向けた対策を行うことが必要といえるでしょう。

 

建設業の雇用が厳しい理由

もともと建設業の採用状況が厳しい状態だったのは、

・離職率の増加

・好景気による需要拡大

・若者離れと高齢化

などが背景にありました。

しかし新型コロナウイルス感染拡大により景気は後退し、これまでと環境は変わったはずなのに、変わらず厳しい状況です。

結局、賃金と労働が見合わないことで離職率が高く、若い世代に人気がなく、現在働いている技術者の高齢化が進んでいることは変わらないからでしょう。

そこで、建設業で採用するターゲットを、建築学部を卒業した若年層、または50代の資格保有者のいずれかに絞るといった雇用を検討してみるのもよいといえます。

人員不足を解消するために、できるだけ多く雇用したいと考え、若手からベテランまで誰でも募集といった求人を出すことが多いですが、それでは人は集まりません。

建設業界はリーマンショックや民主党政権などの影響で、中小ゼネコンが倒産し大企業でも採用を抑制していた時期がありました。結果、30代の在職者がほとんどおらず、働き盛りといえる世代を雇用したいと考えても、未経験者の30代を雇用することはリスクが高く難しいものです。

そこで、ターゲットを幅広く設けず、必要な人材にのみ寄せたほうが人は集まりやすくなると考えられます。