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建設工事の発注や遂行方式が変わることが望ましいとされる理由とは?

2021.07.03
分類:経営

建設業でも働き方改革について取り上げられることが多くなりましたが、最新技術の導入など様々なツールを活用し業務の効率化を図る動きも見られるようになっています。

しかしハイテクなツールを導入したとしても、建設工事の業務発注や遂行形式が変わらないままでは、根本的に改善させることは難しいといえます。

時代の流れや変化に対応することも必要

建設業界は残業も多く、人材も不足しているため、作業員ひとりにかかる負担も大きくなりがちで、労働環境も悪化しやすいといえます。

大規模な工事など、特に3月に集中しやすい傾向が見られ、工期に間に合わせようとすれば抜き打ちの臨検に入られてしまい、改善されず営業停止処分となった大手ゼネコンなども実際にあります。

さらに建設業界は昔ながらの慣習が残っている業界でもあるため、世の中の流れや変化への対応が遅れているともいえます。もし対応できなければ倒産してしまうリスクも高くなるでしょう。

仕事の生産性を高めるためには、受注側だけではなく発注側にも努力が必要となります。

 

重層下請構造で下請業者の立場が弱い

重層下請構造が一般的な建設業界では、受注側よりも発注側の立場が優位となるため、発注側の都合にばかり左右されてしまうと受注側の負担は大きくなるばかりです。残業が増え余裕はなくなり、適切な作業や業務もできなくなってしまうでしょう。

建設業法第20条でも、元請業者と下請業者との間で行われる見積もりについては、その期間や交付内容について定めています。

元請業者は、下請業者が正確に見積もりできるように、建設工事の具体的な内容を示すことが必要とされ、見積書作成に必要な期間を設けることも義務化されています。

元請業者が儲ける見積期間は、

500万円未満の工事…1日以上

500万円以上5,000万円未満の工事…10日以上(5日以内に短縮可能)

5,000万円以上の工事…15日以上

となっています。

元請業者から建設工事の具体的な内容が示された下請業者は115日以内に見積書を作成しなければならないということです。

ただし工事の金額によって日数は変わるため、仮に5,000万円以上の工事であれば、元請業者から下請業者に対し14日以内に見積書を提出するような指示はできないことを意味します。

元請業者は下請業者に対し、必要以上に見積書作成を急かすことはできないとされているのですが、これは元請業者の立場が強くなる傾向を法の力で公正な関係にしようとしているといえます。