企業の経営成績を明確にするため、1つの会計期間における収益と対応する費用で経常利益をあらわし、特別損益に属する項目を加減することで当期利益を示す財務諸表を損益計算書といいます。
この損益計算書からは、企業の収益性を把握することができますので、建設事業者が企業経営にしっかり役立て確認することが必要です。
建設会社の損益計算書には、完成工事高、完成工事総利益、営業利益、経常利益、当期純利益が区分表示されます。それぞれ何をあらわすのかは次のとおりです。
完成工事高から完成工事原価を差し引くと、工事施工による活動成果を示す完成工事総利益を算出できます。
完成工事総利益から販売費および一般管理費を差し引くと、企業の主たる営業活動における成果を示す営業利益を算出できます。
営業利益に営業外収益を加算し、営業外費用を差し引くと、企業の経常的な諸活動による成果を示す経常利益を算出できます。
経常利益に特別利益や特別損失など、臨時的な損益を加減算すると当期純利益を算出できます。
企業経営では収益性を分析することは必要不可欠であり、分析した結果を将来の利益増につなげていくことが必要となります。
利益をどのように上げていくのか戦略を立てていくことになるので、財務分析の本質は収益性の把握といってもよいでしょう。
収益性を分析することで課題発見や改善策の検討に繋げることができます。
また、売上から原価や費用を差し引いたとき、利益がゼロになる売上額である損益分岐点にも注目しましょう。
損益分岐点を把握しておくと、現状の売上にどのくらい余裕があるのか知ることができますし、目標達成するためにどのくらいの売上が必要か把握しやすくなります。
損益分岐点は原価や費用を変動費と固定費に分けて考えることが必要で、
売上高-変動費(原価)-固定費(販管費)=0円
という算式から考えると、
変動費率=変動費÷売上高
損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)
という算出式で求めることができます。
損益分岐点を把握しておくことにより現在どのくらい余裕があるのか、またはどのくらい目標達成まで不足しているのか把握しやすくなるので、収益向上のための分析に役立てるようにしましょう。