建設工事会社が経営改善に本気で取り組みたいと考えるのなら、目標をまずは設定するべきですが、このときに売上高を目標せず利益率を重視するようにしましょう。
経営改善で本来目指す必要があるのは利益であり、必要粗利益額を上げていくことを目標とするべきです。
必要粗利益額は、現場の労務費を除いた人件費や家賃などの一般管理費に対し、借入金の支払利息を加え、借入金の元金返済と賞与などの社員待遇改善費、設備投資や予備費などを上乗せして計算します。
算出した金額は、健全に会社を経営するために最低限必要となる粗利益です。
粗利益額を把握した上で、現場の規模やタイプごとに利益率を設定しましょう。
利益率は、売上高に対する粗利益の割合のことですが、必要粗利益額は先に決まっているため売上高をどのようにするか考えるべきです。
基本的に前年並み程度とするか、過去3年の平均値程を目指したほうがよいでしょう。。
売上は受注量を増やすことが必要となるため、思ったよりも受注できなかったというケースも考えられます。
そして受注量が増えれば管理する工事社員の負担も重くなるため、ある程度人員が多い会社であればそれほど問題はないものの、人員が足りていない会社の場合には負担が重くなりすぎてしまいます。
そのため受注を現状維持とし、状況によっては現状よりも控え目な数字で計画するようにしましょう。
現状やそれ以下の売上で受注現場に全力を尽くし、原価管理をしてもらうことが必要です。
目標となる必要粗利益額と売上高が決定したら、後は会社全体で目指すことになる利益率を把握できるようになるでしょう。
建設業といっても業種はいろいろありますが、利益率の目安は20%程度になることが多いと考えられます。
もちろん20%よりも多くてもよいでしょうが。高い利益率を設定してしまうことに抵抗があるのなら、低めに設定しても問題ありません。
大切なのは必要粗利益額を達成するため、利益率はどのくらいか把握することです。
顧客の規模や部門種別により利益率は異なりますが、大規模工事ほど粗利益率は低くなり、小規模な工事のほうが高くなります。
部門ごとの利益率を設定するときには、受注実績や次の段階といえる現状把握を踏まえつつ、十分に部門ごとの責任者がすり合わせをして落とし込む作業が必要となるでしょう。