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建設工事会社の経営分析を行うときには損益分岐点を把握することが重要

2022.01.22
分類:経営

建設工事会社が経営分析を行うとき、損益分岐点に注意しましょう。

損益分岐点とは、売上から原価や費用を差し引いたとき、利益がプラスマイナスゼロになるときの売上額のことです。

この損益分岐点を把握しておくことにより、現在、売上にどれほど余裕があるのか、目標として設定する利益を達成するまであとどのくらいの売上を確保する必要があるのかなど把握できます。

建設業界では、受注工事でどのくらいの売上を確保するべきか知ることができ、企業の利益計画を立てるときにも役立ちます。

損益分岐点はどのように計算すればよいか

損益分岐点を計算するときには、まず原価や費用を変動費と固定費に分けることからはじめましょう。

変動費とは売上の増減に比例し発生する費用です。

たとえば工事を下請けに発注するときの外注費などは、売上が上がればその分大きくなる費用なので、変動費に含まれます。

固定費は、売上が上がったときでも下がったときでも必ず発生する費用であり、事務所の家賃などが該当します。

原価はすべて変動費として考え、販売費および一般管理費は固定費とすることが一般的といえるでしょう。

その上で利益がゼロになる損益分岐点売上高を計算しますが、次の計算式で算出できます。

利益0円=売上高-変動費(原価)-固定費(販売管理費)

この計算式から、損益分岐点売上高は次の式で算出が可能です。

変動費=売上高×変動比率

変動比率=変動費÷売上高

損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)

 

損益分岐点をどのように活用すればよいか

損益分岐点売上高を活用すれば、目標とする利益を達成するために必要な売上がわかることになります。

建設業での経営分析において有効活用していくべきですが、主な活用方法としては次のようなことが挙げられます。

目標売上高を計算する時に活用

損益分岐点を活用することで、目標とする利益を達成するために必要な目標売上高の計算が可能です。

安全余裕率を計算するときに活用

損益分岐点を活用することで、今の売上高が損益分岐点に対し、どのくらい余裕があるかを示す安全余裕率の計算が可能です。

安全余裕率=(実績売上高-損益分岐点売上高)÷実績売上高

損益分岐点比率の計算するときに活用

安全余裕率の応用方法として、実績売上高に対する損益分岐点の高さをあらわす損益分岐点比率の計算もできます。

損益分岐点比率=1-安全余裕率