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日本の主要産業である建設業界のデジタル化の現状と実現させなければならない理由

2022.05.13
分類:経営

建設業界は日本の主要産業といえますが、その一方で人手不足が深刻化していることやデジタル化が遅れていることに悩まされています。

そもそも深刻な人手不足を解消するためにもデジタル化を進めていくことが必要とされていますが、デジタル化により何が解決できるのか、実現させなければならない理由について解説していきます。

建設業界のデジタル化の現状と抱える運用課題

建設業界でも進められているとされる「デジタル化」ですが、確かにICT活用件数は増えている傾向が見られます。

特に国土交通省が建設業界の業務効率化を進めるために「i-Construction」を提唱してからは、ICT活用が活発化してきたといえます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、2019年度以降の伸び率は低下しているものの、ICT需要が拡大され技術も普及していることで今後は増えていくと考えられるでしょう。

運用に伴って抱える複数の課題

ICT活用件数は増えつつあるとはいえ、実際には建設業界のデジタル化にはいろいろな障壁があります。

コロナ禍でリモートワークが推奨されるようになり、多くの企業がテレワークを導入しました。

自宅や遠隔地から業務を行うケースが増えたものの、デジタル技術を利用する従業員のICTリテラシーの低さやパソコンのスペック不足、ネットワーク環境の不安定さなどですぐに十分な環境が整ったとはいえません。

デジタル化により優れたツールや仕組みを導入したとしても、現場で環境がしっかりと整備されていなければ、期待するパフォーマンスは見込めないといえるでしょう。

そもそも建設業界はデジタル化に遅れをとった業界といえるため、まずは基本的な環境整備から進めていくことが必要です。

 

建設業界がデジタル化を実現させていくべき2つの理由

建設業界でデジタル化を推進していく必要がある理由として、主に次の2つが挙げられます。

生産力を向上させるため

人口減少による人手不足問題を抱えているのは建設業界だけではありませんが、特に建設業者や技能者の数は減少傾向にあります。

建設の仕事はたくさんあるのに、対応できる事業者や技能者の数が減っているため、対応できる事業者や技能者の負担が増えてしまう時代に差し掛かったといえます。

限られた人数でこれまで以上の成果を達成できないときには、建設業そのものは成り立たなくなると考えられます。

さらに熟練の技能者の高齢化が進み、これまでの技術やスキルを次の世代に引き継ぐことができない状態のまま、リタイアするケースも少なくありません。

それにより日本の建設技術が低下するリスクも懸念されており、デジタルなどのハイテクの力で生産性向上を目指すことが必要とされています。

管理業務を効率化するため

現場作業はもちろんのこと、管理業務を効率化することも必要です。

作業員や技能者の数は減っているのに、仕事の数だけ増えている今、建設業界では高度なマネジメント能力が必須となってます。

管理スキルの高い人材を登用することや、遠隔で現場監督業務を行うこと、ペーパーレス推進など様々な業務にデジタル技術を用いり、省人化を可能とするシステム構築が必要です。