高度経済成長の時代、大規模な建設工事が行われるたびに環境破壊が懸念されていました。
木々は切り倒され川に蓋をし、アスファルトで土を覆うなど、どれも豊かな自然を壊す行為だからです。
しかしそれらの行為こそが豊かさの証明とされており、社会に求められているまま、建設業界も要望に全力で応えてきたといえます。
時代の変化によって社会は自然環境保全を求めるようになったため、これまでどおりの方法では社会の要望に応えることはできなくなってきました。
環境に対する配慮を考えるようになった建設業界でも、新たな技術が次々に生み出されるようになりましたが、建設がもたらす環境破壊については知っておくようにしましょう。
日本の家は木造建築が主流のため、建設には木材を利用します。
文明の高度化で人口が爆発的に増え、増えた人たちの住居をまかなうためには想像を超えるほど大量の木材が必要となります。
西洋などではレンガ造りの建築が多いため、それほど木材を消費していないように感じるでしょうが、実際には材料として使うレンガは粘土を固め高温で焼かなければならず、そのときの燃料として大量の薪が使われます。
木材を板に加工し壁として使用する木造建築よりも、レンガを焼成するために必要となる薪のほうが木材の消費ははるかに多くなります。
紀元前から行われているレンガの焼成で、すでに深刻な森林破壊が始まっていたと考えられるでしょう。
建設が環境破壊につながってしまうとしても、たとえば海や川の近くで生活する方たちの安全を守るために、護岸工事なども必要不可欠です。
しかし自然の土などをコンクリートで固めることになるため、やはり深刻な環境破壊をもたらすこととなるでしょう。
川に作られたダムは、水資源を確保することや水力発電のために欠かせませんが、土砂をせき止めるため砂が下流に運ばれなくなり、海岸の砂浜を減少させます。
道路をアスファルトで舗装することも、地表が土や緑を失う状態となり、熱を反射してヒートアイランド現象などを引き起こしてしまいます。
暑さ対策のためエアコンなどが多く使用されることになれば、電気をまかなう火力発電所で化石燃料が消費されることとなり、二酸化炭素が大量に放出され地球温暖化を進めてしまうことになるでしょう。
人々の生活を安全・快適にするために行う建設が、結果として環境破壊をもたらしてしまうことになってしまう理由です。