建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業の労務費と人件費との違いとは?見積もりに記載するときの計算方法

2022.07.19
分類:総務

建設業での工事費の積算・見積は、工事で必要となる費用を算出し、積み上げていく作業といえます。

その工事費用の1つに「労務費」がありますが、建設業の積算における「労務費」と一般的な「人件費」は何が異なるのか、労務費はどのように計算すればよいのか説明していきます。

一般的に「人件費」として区分されるもの

建設業の積算における労務費は、工事価格や工事原価に含まれる費用であり、工事施工に直接関係する職人の人件費といえます。

一般的な「人件費」は、給与・賞与・各種手当など従業員に支払う経費のことであり、建設業の会計処理では次の3つに分けて考えます。

・施工や製造に関係する職人などの人件費

・販売に関係する営業スタッフなどの人件費

・管理に関係する事務スタッフなどの人件費

このうち、職人などの人件費は労務費として原価に含めることとし、営業スタッフや事務スタッフの人件費は販売費および一般管理費などに分けることになります。

一般的に労務費として挙げる人件費は、次の内訳に分けることができます。

・従業員の給与

・パート・アルバイトの給与

・賞与・各種手当

・退職金積み立て費用

・法定福利費(雇用保険・健康保険などの事業者負担分)

その中で労務費は「直接労務費」と「間接労務費」に分かれますが、それぞれ次のような費用が該当します。

・直接労務費…工事や製造に直接関係する職人に対する賃金

・間接労務費…直接労務費以外の工事や製造に間接的にかかわり発生する費用であり、職人以外の従業員に対する給与など

 

建設業の積算での「労務費」とは

建設業の積算での労務費は、工事施工に直接関係することになる職人の給料であり、「直接労務費」といえます。

建設業の積算での間接労務費は、現場監督・現場事務員に対する給料や、本店・支店で働く従業員の給料が該当し、現場管理費や一般管理費として「間接工事費」に含まれます。

 

建設業の労務費の計算方法

建設業の積算・見積で労務費を計算するときには、次の計算式で算出します。

労務費=所要人数(設計作業量×該当作業の歩掛)×労務単価(基本日額+割増賃金)

この計算式にある「歩掛」とは、作業ごとの手間を数値化したものです。

他社に外注して作業を任せるときの費用は、外注費または労務外注費という項目に含めますが、工事原価の1つであり工事費用を占める割合が大きくなりがちなため、別途項目を設けます。

工事現場でかかる直接工事費や間接工事費など、費用の種類や分類が複雑でわかりにくいこともあるでしょうが、しっかりと理解し正確に振り分けていくことが必要です。