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建設業の退職金規定|退職金支給の際に定めておくべき指針の役割と必要性

2023.09.26
分類:総務

福利厚生の一環として、長年会社に勤め貢献してくれた社員に退職金を支給する場合には、指針として「退職金規程」を定めておく必要があります。

 建設業でも長年現場で活躍してくれた功労者に退職金を支給されることはめずらしいことではありませんが、この際には退職金規定として支給金額・支給基準・支給時期・必要な手続など決まりごとを決めておきましょう。

 そこで、建設業の退職金規定で定めておくべき指針の役割と必要性について解説していきます。

退職金規程とは

 退職金規程は、退職金制度を設けている場合に、支給する退職金について定めたものです。

 実際、法令で退職金規程を定めておく義務はありませんが、就業規則として扱われるため、作成しておけば法的な拘束力を持つことができます。

 退職金規程で定めておく事項は以下のとおりです。

 ・退職金支給対象となる従業員の範囲

・退職金として支給する金額の算定基準

・退職金が不支給・減額となる場合の条件

・退職金を支給する時期

・死亡退職金について

・退職金制度を改定や廃止する場合の要件

 

 退職金規定の役割

 退職金規定には、社員に退職金を支給する場合の指針として定めておく規定ですが、主に次の3つの役割があります。

 ・退職金を巡ってのトラブルを防ぐ

・社員のモチベーションを維持・向上する

・税務調査に対応する

 それぞれどのような役割があるのか説明します

  

退職金を巡ってのトラブルを防ぐ

退職金規定は、退職金を巡る労使間のトラブルを防ぐ役割があります。

勤続年数に応じて金額に差が出ることもあれば、自己都合退職であれば一定額は減額されることもあるでしょう。

この場合、退職金について従業員からクレームが出た場合でも、明確に定めておくことで法的な効力を持たせることができます。

 

社員のモチベーションを維持・向上する

退職金規定は、社員のモチベーション維持・向上の役割を担います。

長年勤務した従業員が今抱えている不安は、老後に安心して生活できるかでしょう。

年金もあてにならない状況の中で、安心した老後生活において退職金は大きな糧になるといえます。

退職金制度を整備しておくことは福利厚生の充実につながり、勤労意欲を引き出し優秀な人材確保にもつながることが期待できます。

 

税務調査に対応する

退職金規定は、税務調査に対応する際にも役立ちます。

何年か1度に税務調査が行われたタイミングが退職金支給のあったときだった場合でも、支給基準や金額について説明することができます。