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建設業会計とは?経理担当者を迷わせる一般会計との違い

2022.10.28
分類:総務

建設業では、建設業経理という特殊な会計処理を行います。

一般的な企業なら、製品の製造や販売までそれほど長い時間はかからないでしょう。

しかし建設業では1年がかかりで工事を行うこともあるため、一般的な会計処理は難しく、特殊な建設業経理を行うことが必要となっています。

そこで、建設業経理とはどのような会計処理になるのか、その特徴や一般的な会計処理と異なる勘定科目について紹介していきます。

工事完成基準と工事進行基準という考え方

建設業の会計処理では、次の2つの基準のいずれかで考えることになります。

・工事完成基準

・工事進行基準

この2つの違いについて説明していきます。

工事完成基準

工事完成基準は、長期の請負契約で適応される会計方式であり、売上と経費は工事終了時の会計期で計上します。

工事完成までの費用は未成工事支出金を使って処理しますが、もともと従来の土木・建築・建設で一般的だった会計方法です。

会計期まで累積された未成工事支出金と売上の差額を利益と判断することができるため、確実性が高い方式ではありますが、工事が完了まで赤字が判明しないことが問題になる場合もあります。

工事進行基準

工事進行基準は、工事完成までの期間で発生する売上や経費は分散しながら計上していきます。

工事収益総額・工事原価総額・工事進捗度などを見積もることができる工事計画を立てておくことが必要ですが、工事収益総額と工事原価総額は正確な見積もりが容易であるのに対し、工事進捗度は原価比例法などで判断することが必要となります。

 

建設業特有の勘定科目の種類

建設業会計には、一般会計では登場しない勘定科目が多く存在します。

ただ、勘定科目の名称が異なるだけで、意味は共通するものが多く、会計処理の方法としてはそれほど大きな差はありません。

たとえば建設業経理独自の勘定科目として挙げられるものは以下のとおりです。

・完成工事高(売上高を意味し、工事が完了で得ることのできる収益)

・完成工事原価(原価を意味し、材料費・労務費・外注費・経費に分類)

・完成工事総利益(完成工事高から完成工事原価を差し引いて計算)

・未成工事支出金(完成前工事で発生した費用)

・完成工事未収入金(売掛金を意味し、工事は完成しているものの入金は翌期予定)

・未成工事受入金(前受金を意味し、工事完成引渡し前に発注者から受け取ったお金があれば発生)

・工事未払金(買掛金を意味し、工事費の中の未払い金額)