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建設業の配置転換で注意しておきたいポイントについて簡単に解説

2023.09.22
分類:総務

建設現場で従業員として働いている方が、現場で問題を起こす場合や現場作業が向いておらず改善が見られないときなど、事務担当などへの配置転換を検討することもあるでしょう。

 しかし従業員は建設現場での仕事を希望しており、配置転換に納得しない場合には配転拒否を理由として懲戒処分も可能なのでしょうか。

 そこで、建設業の配置転換で注意しておきたいポイントについて簡単に解説していきま

配置転換命令権とは

 配転は従業員の配置変更であり、職内容または勤務場所が長期間に渡り変更されることです。

 事業所内の部署変更は配置転換、勤務地の変更は転勤と使い分けられています。

 長期雇用が予定される正社員の場合、会社側に人事権として職務内容や勤務地を決定する権利がありますが、就業規則などでも業務の都合で出張・配置転換・転勤を命じることがあることは規定されていることが一般的です。

 

 配置転換命令が認められないケース

 配転命令は労働契約における職内容・勤務地の決定権といえますが、労働契約において職種・職務内容・勤務場所などが限定されている場合には、社員から同意を得ずに配転命令は出せないと考えられます。

 特に建設技術者など特殊な技術・技能・資格がある者の職種を定め雇用し、長年同じ専門職種に従事させている場合などは、職種限定合意が労使間であると判断されるため、異なる配転命令は無効になることがあります。

 

配転命令権が認められる場合でも権利濫用は禁止

 職務限定契約に加え、配転命令が認められるケースだとしても、社員の利益に配慮して行使されるべきとされています。

 そのためその権利を濫用することはできず、あくまでも配転命令は業務を行う上で必要であることが認められ実施されるものであり、本人の職業上や生活上の不利益に配慮し行うべきとされています。

 長年に渡り同じ業務を専門的に行っていた社員を、命令といって簡単に配転できるわけではありません。

 また、転勤命令についても業務上の必要性が存しない場合や、業務上の必要性があっても他の不当な動機や目的で行われるときや、労働者に著しい不利益を負わせるものであるときには権利濫用になると判断されます。

 嫌がらせで離島へ転勤命令を出すことは認められず、また、家族の介護など行っており転勤が困難な社員については事情を考慮した配慮が必要になるといえるでしょう。