建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業の年間総労働は年間360時間以上の長時間労働?時間外上限規制に向けた対策とは

2024.01.21
分類:総務

建設業の2020年時点の年間総労働時間は、全産業平均と比べても年間360時間以上の長時間労働でした。

 休日も48休を取得している企業は2割以下であり、約半数に近い企業が44休以下の週休2日ではない状況だったとされています。

 しかし、建設業でも20244月から時間外労働の上限規制が適用されるため、長時間労働是正に向けた取り組みが必要です。

 そこで、建設業の時間外上限規制に向けて行うべき取り組みや対策を紹介していきます。

時間外労働の上限とは

 時間外労働の上限規制とは、働き方改革関連法に伴って労働基準法改正により設けられました。

 20194月には大企業に導入され、20204月には中小企業にも適用されています。

 建設業は猶予期間が設けられていましたが、20244月から適用されます。

 時間外労働は法定労働時間である18時間・1週間40時間を超えて働くことです。

 一般的には法定労働時間が所定労働時間であることが多いため、8時間以上働いていれば超えた分が残業となります。

 法定労働時間の枠を超えた残業は、法定時間外労働となりますが、36協定を締結すれば法定時間外労働も可能です。

 しかし改正により、原則、月45時間・年間360時間までの上限となるため、臨時的・特別な事情がない限りは超えることはできません。

 臨時的・特別な事情がある場合において、労使間で特別条項による合意をしている場合でも、以下の上限は守ることが必要です。

 ・年720時間(月平均60時間)

・年720時間の範囲内で単月100時間未満・26か月の均で80時間以内・月45時間を上回る月は年6回まで

  

建設業が行うべき取り組み

 建設業で時間外労働の上限規制に対応するため、手作業での勤怠管理業務ではなく、システム化することをおすすめします。

 正確に労働時間を把握でき、残業状況などリアルタイムで管理できる勤怠管理システムなどもあるため、時間外労働の上限規制に違反しないためにも導入を検討しましょう。

 勤務状況の現状をリアルタイムで認識できなければ、気がついたときに上限時間を超えていたという事態になりかねず、違反すれば信頼を失うことになります。

 勤怠報告をシステム化と正確な労働時間の把握、残業時間が上限を超えそうな従業員などへのアラートを出すといったことができれば、残業時間を超えてしまうよりも前に適切な対処・指導が可能となります。

 特別条項も含め、漏れなく36協定の上限を超えていないか常に確認しましょう。