建物は経年や使用により劣化・損耗していくものですし、他にも様々なことを原因として破損や不具合などが生じるものです。
そのように建設当初の状態と変わってしまった建物を、元の水準まで戻すために行うことを修繕工事といいます。
応急的に処置をするために行うのではなく、完全に原状回復させることを目指して行うものです。
元の状態に戻し建物の価値を保つことができれば、機能や性能を復活させ長く建物を使用し続けることが可能となります。必要なのは数年ごとなど定期的に修繕工事を計画し、実施することです。
建物の修繕工事を行うサイクルは10年ごとから計画的に行うとよいとされています。
マンションなどは鉄筋コンクリート造りなので、木造一戸建て住宅とは異なり耐久年数も長いことが特徴です。
そのため10年以上経過してもまだ修繕しなくて大丈夫と考えるケースも少なくありません。ただ、コンクリートだけで建てられているわけではないので、仮に建物の構造基礎部はコンクリーだとしても、塗装やタイル、金物やシーリングなど部材同士をつなぐ材料など素材は様々です。
これら素材の耐久年数は、コンクリートよりも大幅に短い点に注意しておくべきでしょう。コンクリートそのものは耐久性が長かったとしても、部材同士をつなぐ部分が劣化を早めれば建物の老朽化も進んでしまいます。
では具体的に、どの部分をどのくらいの周期で修繕していけばよいのでしょう。
たとえば共用部鉄部の修繕工事周期は4〜6年、屋上の防水層や外壁面、バルコニー・共用廊下などは10〜15年とされています。そのためマンションの大規模修繕工事のサイクルは12年ごととしていることが一般的です。
なおこの12年という数字は、建築基準法の中にタイル張りの外壁のマンションについて、築10年が経過しているなら3年以内に全面打診調査を実施しなければならないという規定からも一般化しています。
マンションなどの修繕工事は工事内容の規模が大きく、工事期間も長期に渡ることとなります。外壁補修・鉄部塗装・屋上防水・給水管や排水管の取り換えなど、工事の内容も複数に渡ることとなるでしょう。
そのためマンションごとに大規模修繕工事の計画を立て、実施する形がとられています。費用も高額になりやすいため、マンションの区分所有者から毎月少しずつ修繕積立金を管理組合で徴収し、その費用に充てられていることがほとんどです。