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公共工事の品質を保つために設けられた資格者とは?

2020.06.06
分類:総務

社会資本として建設される施設などは、同じ構造の建物だとしても、地形や地質、気候などを含む立地条件や現場の状況などが異なります。

そのため建物の設計や工事、施工・管理などはそれぞれ違った方法が必要になるといえますが、建設工事の品質の高さは施工者の技術や能力によるところが大きく、その確認は実際に使用してみなければわからないといえます。

そこで、社会資本整備として建設される施設の品質を保つため、発注者と受注者が連携して調査や設計、積算、施工、維持・管理などそれぞれの段階で互い責任を果たしていくことが大切です。

ただ、公共事業を取り巻く状況も厳しくなり、発注者がすべての段階で直接業務を遂行することはできるとも限りません。

そこで、発注者を支援することを可能とする資格者として設けられたのが、一般社団法人全日本建設技術協会の認定する「公共工事品質確保技術者」です。

公共工事品質確保技術者とは?

公共工事品質確保技術者とは、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に基づき、発注関係の事務を適切に行うことを可能とする者が育成されるように設けられた資格者です。

民間資格である「公共工事品質確保技術者資格制度」により、平成20年度から運用されています。

「公共工事の品質確保の促進に関する法律」は令和元年6月に改正されていますが、それに伴い令和2年1月には「発注関係事務の運用に関する指針」も改正となっています。

これらの改正によって発注者の責務が明確化され、発注関係事務を適切に行うことを可能とする資格者がより重要になったといえるでしょう。

公共工事品質確保技術者になるには?

公共工事品質確保技術者には、(Ⅰ)・(Ⅱ)という種別がありますが、いずれにしても認定を受けるためには資格試験に合格後登録が必要です。

資格登録を行うと、品確技術者(Ⅰ)資格登録証または品確技術者()資格登録証という資格証が交付されます。

行政や民間の技術者として豊富な経験があり、公共工事における設計・積算、監督、技術提案 審査などで発注者を支援できる資格です。

品確技術者()の資格を保有していると、総合評価落札方式の導入支援、審査での外部委員としても認められます。

公共工事品質確保技術者として登録されている人数は?

現在、公共工事品質確保技術者として認定登録されているのは約3千人とされており、国の直轄工事で発注者支援を行う方もいれば、総合評価落札方式の技術提案審査に参加する方もいるなど、活躍の場が広がっています。

発注者支援業務発注時の総合評価落札方式では、配置予定管理技術者などの基本評価が国家資格の技術士と同じ加点となるので、評価も高いことが特徴です。