事業者は常時使用している労働者を対象に、1年以内ごとに1回は定期健康診断を実施することが必要です。
建設工事を担う労働者に対しても同様に定期健康診断を行うことが必要とされ、健康診断を受けた労働者には診断結果を通知することが義務づけられています。
さらに常時50人以上の労働者を使用する事業者が定期健康診断を実施した場合には、遅滞することなく診断結果報告書を所轄の監督署まで提出することが必要とされていますので忘れないように手続きを行いましょう。
一般的な健康診断の種類と対象者、実施する時期などの内容は次のとおりです。
・雇入時の健康診断…対象者:常時使用する労働者 実施時期:雇い入れの際
・定期健康診断…対象者:常時使用する労働者 実施時期:1年以内ごとに1回
・特定業務従事者の健康診断(深夜業務従事者含む)…対象者:労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に常時従事する労働者 実施時期:配置替え時および6か月以内ごとに1回
なお、夜間工事に従事する労働者で週1回以上、または月4回以上行っている場合は、少なくとも年2回の健康診断を実施することが必要です。
また、常時使用する労働者に該当する有期契約労働者と短期労働者はそれぞれ次に該当する方です。
有期契約労働者の場合
・ 契約期間が1年以上の方
・ 契約更新により1年以上使用が予定されている方
・ 契約更新により1年以上引き続き使用されている方
短時間労働者の場合
・ 1週間の労働時間数について、事業場で同種の業務に従事する通常労働者の所定労働時間数の4分の3以上(1週間の)である方
なお、派遣社員は派遣元に受診義務があるので含まれませんし、一人親方その他の自営業者も含まれません。
定期健康診断で検査対象となる主な項目は、
・問診
・自覚症状および他覚症状の有無の検査
・身長、体重、腹囲、血圧の測定
・視力、聴力の検査
・胸部エックス線検査
・喀痰検査
・貧血検査
・肝機能検査
・血中脂質検査
・血糖検査
・尿検査
・心電図検査
などです。
定期健康診断にかかった費用は事業者が負担することになります。
受診で要した時間は労働時間に含まれ賃金を支払うべきか気になるところでしょうが、そもそも労働者を対象とする一般健康診断は健康確保を図ることが目的です。
実施義務は事業者に課せられていますが、業務遂行との関連で実施されるものではありません。
そのため受診にかかった時間は事業者が負担する必要はないと考えられますが、事業を円滑に運営するために不可欠なことであると考えれば、受診にかかった時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいとされています。