建設工事現場で自社の作業員を働かせるために必要となる作業員名簿ですが、新たな現場に入るときには必ず必要となる書類です。
安全書類(グリーンファイル)のうち、労務安全のために必要とされている書類の1つであり、いろいろな事業所からの作業員が1つの工事現場に出入りすることになる建設業界ならではの書類といえます。
そこで、何のために作業員名簿が必要になるのか、その理由をご説明します。
建設工事現場で働く作業員は1つの現場に留まり続けるのではなく、依頼を受けた構築物などが完成すれば、また次の工事現場へ移動します。
このように特殊な働き方ともいえる建設業界において、誰がどの現場で働いているのか把握しておかなければ、万一事故やトラブルなどが起きたときに、現場の元請けも作業員を雇用する下請けや孫請けも対応できなくなってしまうでしょう。
そこで、複数の事業所からの入退場が多い工事現場において、誰がいつ現場に入ったのか確認できる書類として必要とされています。もし労災などが発生したときに、どこに連絡すればわからないでは困りますので、安全衛生管理上、重要な書類として位置づけられていると理解しておきましょう。
新たな現場に入る時には作業員名簿の提出を必ず求められますので、適切な内容で作成しておくようにしましょう。
自社の作業員に対する名簿を作成したら、一次下請けがまとめて元請けに提出します。
記載する内容は、
・氏名・生年月日・血液型
・住所・緊急連絡先
・職種
・特記事項
・雇入年月日
・経験年数
・最近の健康診断日・特殊健康診断日
・公的保険の加入状況
・取得している資格や免許
・送り出し教育・受入教育を実施した年月日
などです。必要とされる項目は元請けによって追加される場合もあります。
また、公的保険の加入状況なども記載対象となるので、未加入の場合に加入指導に使われる場合もあります。
作業員名簿があれば、工事現場における全体像を把握しやすくなりますし、全国建設業協会の統一様式などがあるため、現場での社会保険加入指導や雇用管理を目的として使いやすいのも特徴です。
下請けが作成した名簿を現場ごとで施工体制台帳に添付することが必要など、建設業者に対する法令遵守の要請は高まっている状況ですので、面倒でも必ず作成するようにしてください。