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建設業で社会保険の未加入業者が多い理由とは?

2021.06.02
分類:総務

建設業では、株式会社などの法人、個人経営の事業所のうち常時使用している労働者が5人以上いる場合には、雇用保険・健康保険・厚生年金に加入することが義務付けられています。

5人以下なら、雇用保険以外の保険に加入することは必須とはされていません。

現在、建設業は社会保険未加入事業者が多いことが問題とされており、国土交通省も早急に対策を進めているところといえます。

しかし社会保険へ加入していない状態のままでは、会社の評価が下がるだけでなく、様々なリスクが発生することになることを理解しておくべきです。

建設業の社会保険未加入がなぜ話題?

建設業界では、社会保険へ加入していない事業者が多く問題とされていますが、国土交通省も社会保険を管轄する厚生労働省と連携し対策を進めています。

国土交通省の直管工事においては、施工管理台帳を基に元請業者や下請け業者の社会保険未加入が発覚した場合には、建設業担当部局に通報されることになっているため注意してください。

さらに入札公告を伴う工事の場合、元請業者と社会保険未加入業者が一次下請け契約を結ぶことは禁止されています。

公共工事入札では経営事項審査を受けなければなりませんが、項目の1つに社会保険への加入の有無が問われることとなり、加入していなければ減点の対象です。

そもそも国土交通省は元請業者に対し、下請け業者の社会保険加入を指導するよう通達しているため、だんだんと厳しくなっているといえるでしょう。

 

一人親方が多いのも背景にある?

建設業界は元請けから下請けへ仕事が依頼され、さらに下請けから孫請けへと発注される重層下請構造が基本です。

労務管理が一元管理されていないため、社会保険の未加入業者が少なくない状況をつくりやすくしています。

そして雇用されずに元請業者と直接契約を結び、仕事を請け負う一人親方も多くいます。

一人親方は個人事業主であり、国民年金と国民健康保険に加入することが義務付けられていますが、保険料が割安となる建設国保に加入していることが一般的です。

 

社会保険未加入によるリスク

社会保険未加入の場合、従業員が病気になったときやケガを負ったとき、病院に通うことができなくなるといった問題が起きてしまうでしょう。

また、社会保険未加入業者と契約をするべきではない、未加入の作業員は現場入場を認めるべきではないといった国土交通省の見解により、建設業者にとっては死活問題となってしまいます。

加入義務があるのに未加入の場合、最大2年分の社会保険料を追徴金として支払うこととなり、悪質なケースは6か月以下の懲役や50万円以下の罰金の対象になります。

人を雇用したくても、社会保険に加入していなければハローワークで求人票を受け付けてもらえないなど、様々な支障をきたすため必ず加入するようにしてください。