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建設現場で労災事故が起きたときに必要となる手続とは

2021.06.04
分類:総務

もしも建設現場で労災事故が発生したときには適切な手続が必要です。

建設業での労働者災害補償保険は、建設現場に関係する下請業者を独立事業として取り扱うのではなく、元請けと下請けは一体とみなされます。

そのため、建設現場の労働者災害補償保険加入手続は元請けが下請けについても行うことが原則となっており、労災保険料の納付義務も建設現場ごとで元請けが負わなければなりません。

手続しなければ元請け・下請けすべてに影響が及ぶ

建設現場の二次下請けの労働者が就業中にケガを負い、元請けが労働者災害補償保険の申請を拒否したことで、労働安全衛生法違反容疑で二次下請けの取締役と関係請負人の一次下請けの代表取締役、さらに元請けの現場代理人が書類送検された事例があります。

元請けは下請け労働者が就業中にケガを負ったときには、労働者災害補償保険の申請をしなければならず、拒否すれば下請けにもそのしわ寄せが及ぶと理解しておくべきです。

 

労災事故が発生したときの手続の流れ

もし建設現場で労災事故が発生したときには書類を提出することになりますが、主につぎのような流れで手続が必要です。

①労災事故が発生し労働者がケガを負った

②労災指定病院で労働者を受診させる

・受診の際には労災事故である旨を必ず告げること

・受診の際に間に合えば「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」を提出して現物給付の無償で治療を受けさせること

・労災指定病院でない場合には一旦医療費を全額負担し、労働基準監督署に「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)」を領収書添付の上提出し、厚生労働省から費用を受ける

③死傷病報告書を提出する

・被災労働者を直接雇用する事業主が提出すること

・休業日数が4日以上であれば遅滞なく報告書を提出し、4日未満なら四半期に一度報告書を提出すること

4日以上の休業を必要とするときには休業補償給付の請求を

・業務上の負傷や疾病で労働できず、賃金を受けていない場合には4日目から休業補償給付を受けることが可能(平均賃金の80%分給付)

・支給までの3日間は待機期間として平均賃金60%を元請けが補償すること

 

元請け加入の労働災害補償保険で補償されない一人親方は?

このように、建設現場で労災事故が発生したときには、元請けの加入する労働者災害補償保険により、元請けと下請けに使用される労働者は補償されることになります。

事業主・役員・一人親方などは元請けの加入する労働者災害補償保険が適用されませんので、労災保険の補償を受けるためには特別加入制度に加入しておくことが必要です。