建築業では「人工(にんく)」という言葉を使うことがありますが、一般的に馴染みのない用語のため入職したばかりの方は意味が分からず戸惑うこともあるようです。
そこで、建設業の業界用語ともいえる「人工(にんく)」の意味についてご説明します。
人工(にんく)とは、1日に仕事をしたときに発生する人件費のことです。
もともとは職人に対して支払う賃金計算の際に使用する用語でしたが、現在では建設業界で使用する共通用語となっています。
たとえば「1人工」は職人1人が1日作業したときの人件費であり、「半人工」は職人1人が半日作業をしたときの人件費という意味です。
人工は企業によって異なるものの、国土交通省が公表している労務単価を公表している令和3年3月から適用する公共工事設計労務単価を見ると、
・特殊作業員22,193円
普通作業員 18,939円
・軽作業員14,623円
・とび工25,082円
・鉄筋工24,839円
・塗装工22,835円
が全国平均値です。
これは、最近の労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映した上で47都道府県・51職種別に単価を設定しています。
新型コロナウイルス感染症の影響下であることを踏まえ、前年度を下回った単価は、前年度単価に据置も実施されており、必要な法定福利費相当額および義務化分の有給休暇取得費用を反映することも継続した金額です。
なお、この労務単価は公共工事の工事費を積算する際に使用されるものなので、賃金として必ずこの金額を支払わなければならないのではありません。
時間外・休日・深夜労働などで発生する割増賃金なども加味されていない金額であり、あくまでも所定労働時間内8時間の単価です。
目安として参考にするとよいでしょう。
たとえば30人工という言葉があらわす意味は実労働日数30日をあらわします。
人工を計算するときには、仮に1人工2万円で実際の労働日数が30日(30人工)である場合には60万円という計算がなりたちます。
仕事が半日で終わる半人工であれば、1万円×30人工=30万円です。
人工代は企業ごとに異なるため、設定に迷ったときには先に述べた国土交通省の労務単価を目安とするとよいでしょう。
必ず労務単価に合わせなければならないわけではありませんが、相場よりも安い金額で設定してしまうと、仕事を受注してもらえなくなる可能性もあることは留意しておいてください。