新型コロナウィルス感染拡大の影響により、様々な業種の多くの企業がテレワークを導入する動きが見られます。
実際にテレワークをはじめてみたものの、自宅で発生するテレワーク通信費や光熱費の負担などがかさむといった不満を耳にすることがありますが、そもそもこれらの費用は会社が負担するべきなのでしょうか。
建設業でもテレワークを推進する動きが見られますが、テレワーク通信費の扱いについて確認しておきましょう。
テレワークには在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務の3つの形態がありますが、いずれの場合でも職場に出勤せずに業務ができることがメリットです。
移動時間や通勤費がかからない反面、自宅で作業するにおいて準備費用や通信費、水道光熱費などの負担が増えてしまう可能性があります。
テレワークで発生する通信費や水道光熱費を誰が負担しなければならないか法律上の規定はないものの、労働基準法第89条第1条には「労働者に食費や作業用品そのほかに負担をさせる場合は、就業規則に定めなければならない」と記載されています。
ただしテレワークに関する就業規則が事前に定められていることは少なく、一部就業規則を修正し従業員に通知する形が必要になるでしょう。
仮に就業規則の作成義務がないのなら、労使間で協定を結ぶか、労働条件通知書を従業員に通知することが求められます。
なお、労働契約法第9条では労働者に不利益な変更はできないとされているため、テレワークの通信費や光熱費をすべて従業員負担とするといった規定を就業規則に記すことはできません。
従業員が自宅でテレワークを行うときに発生する水道光熱費は、業務分かプライベート使用分か詳細に分けることは困難です。
そのため月ごとの業務時間に応じた実費精算を導入するか、毎月一定金額を在宅勤務手当として支給する方法が検討しやすいでしょう。
通信費については、Wi-Fiや無線LAN、自宅に通信制回線を設置する工事費やモデム・ルーターの費用など、従業員と会社のどちらが負担するのか事前に決めておく必要があります。
さらに毎月の通信費や基本料金など、業務とプライベートどちらの使用分か判断しにくいため、水道光熱費同様に手当で支給したほうがわかりやすいといえます。
なお、Webカメラやイヤホン、印刷に必要なプリンターなども現物を支給するのか、購入費を負担するのかなどトラブルが発生しないように事前にルールを決めておくようにしてください。