建設業の労働者は社会保険が不十分であることが問題とされていますが、国土交通省では元請け企業に対し、特段の理由がないのに社会保険などの適切な保険に加入していない作業員は現場場を認めないようにするべきだとしています。
建設現場で社会保険の加入指導が強化され、不適用とされる事業者や任意適用とされる事業者にまで、加入することを迫るなどの行きすぎた対応が行われることもあるようです。このような行為で悩んでいる場合、建設労働組合ではすぐに相談してほしいと呼び掛けています。
下請けになるほど処遇の悪さから、社会保険への加入が困難になることもあり、支払う保険料は規模の小さい事業者ほど負担が重く感じるものです。
もし一般の会社員であれば、社会保険への加入も保険料の支払いも勤務先が代行して行うので、未加入問題や保険料未払い問題も発生しにくいことが特徴です。
その一方で、建設労働者は保険料を給料から天引きされることのない、一人親方や個人事業主、フリーターなどが少なくないのが現状です。
そのため、社会保険に加入せず、当然保険料を支払わないといった問題が起きてしまいがちです。
建設国保は、建設工事業に従事する個人事業所の事業主・従業員、一人親方が対象となり、所得には関係なく、組合員の年齢や事業所、就労形態、家族人数によって保険料が決まります。
国土交通省も、建設国保と厚生年金をセットで加入することを認めており、この2つで社会保険に加入しているという要件を満たすことになります。
全国建設労働組合総連会(全建総連)では、建設労働者向けに医療費や入院費などを保障する保険制度を運営しています。
一致条件を満たした事業所なら、健保適用除外の手続きを行い、協会けんぽではなく厚生年金と建設国保をセットにして社会保険に加入することもできます。
この健保適用除外制度は、適切な社会保険であり、協会けんぽに移行する必要はないのです。もし元請けから建設国保を脱退するような強い要請などを受けた場合には、速やかに建設労働組合などに相談するようにしましょう。
無保険状態はわざわざ人生のリスクを高めることとなりますので、行政のセーフティネットを自ら放棄する必要はありません。
保険料も決して安いとはいえないかもしれませんが、誰もが必ず加入しなければなりませんので、万一未加入の方がいるのなら手続きを行っておくようにしましょう。