工事現場の労務管理で、最も問題になりやすいのが「労働時間」と「休憩」についてでしょう。
建設業の「所定労働時間」は、
・8:00~17:00(休憩12:00~13:00)
・8:30~17:30(休憩12:00~13:00)
・9:00~18:00(休憩12:00~13:00)
などで設定されていることが多いようですが、いずれも1日8時間労働で労働基準法の範囲内におさまっています。
しかし、中小・零細の建設会社の場合、完全週休二日制というケースはわずかであり、賃金を計算するときには想定していたよりも多額の割増賃金が発生することもあるため注意しましょう。
建設業の所定労働時間は、
・毎週1日以上は休日を与える
・1日の労働時間は8時間以内にする
・1週の労働時間を40時間以内にする
といった条件を満たすことが必要です。
そのためこれらの条件を満たすことのできる所定労働時間と所定休日として考えられるのは次のようなパターンといえます。
土日を休日とし、土曜日の労働時間をすべて割増賃金で対応するパターンで、強引に完全週休二日制とみなす方法です。
この場合には次の時間は割増賃金を支給することが必要になります。
・月~金曜日の8時間を超えた労働時間
・土曜日の労働時間
日曜日を休日とし、休憩時間を大幅に増やすパターンです。この場合、月~土曜日の休憩時間は140分以上必要となるため、以下のとおりの労働時間になります。
・拘束時間9時間-休憩時間2時間20分=1日労働時間6時間40分
・1日労働時間6時間40分×週6日=1週あたりの労働時間40時間
日曜日以外の休日を増やして、1年単位変形労働時間制を導入する方法であり、1日の労働時間は8時間・1週あたり平均労働時間は40時間にすることになります。
日曜日以外に53日休みを設けることになるため、
(365日-52日(日曜日)-53日)×8時間=2080時間(1週あたりの平均40時間)
という計算です。
労働基準法では、どのくらいの時間を「休憩」という時間で付与しなければならないのかなどの定めがありますので、確認しておきましょう。
使用者は労働時間の途中で、労働時間の長さに応じた休憩時間を付与することが必要です。
使用者は休憩時間をすべての労働者に一斉に与えることが必要ですが、建設業では労使協定を結ぶことで一斉付与をしないこともできます。
警察官など一部例外を除いての休憩時間は、労働者に休憩時間は自由に利用してもらう時間とすることが必要です。