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建設工事現場で働く作業員には最低賃金以上の賃金を払うことが必要

2022.04.04
分類:総務

「最低賃金」とは、使用者が労働者に対し支払うことが必要とされる賃金の「最低額」です。

「最低賃金法」という法律で最低賃金は決められていますが、もしも最低賃金額よりも低い賃金で契約してしまうと、その契約は無効とされ最低賃金額と同様の定めをしたとみなされます。

建設工事現場で働く作業員に対する賃金も、最低賃金以上の支払いが必要となりますが、具体的に最低賃金とはどのように決められているのか説明します。

最低賃金の2つの種類

もしも使用者が最低賃金以上の賃金を支払っていなかったときには、労働者に対しその差額を支払うことが必要になるだけでなく、罰則も適用されてしまいます。

「最低賃金」には、

・都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」

・特定産業ごとに定められる「特定最低賃金」

2種類があります。

一般的な「最低賃金」のイメージは、「地域別最低賃金」ですが、2021101日以降の地域別最低賃金の全国平均は930円(時間額)となっています。

なお、地域別最低賃金は都道府県ごとに設置されている最低賃金審議会で審議を行い、毎年改定されるためずっと同じではありません。

地域別最低賃金

すべての労働者に適用されるのが「地域別最低賃金」で、都道府県ごとに定められます。

正規雇用の労働者だけでなく、パート・アルバイト・臨時・嘱託社員など、雇用形態や呼称に関係なく適用されます。

外国人労働者も含め国籍・年齢・性別なども関係ありません。

使用者が「地域別最低賃金」を下回る賃金のみ支払っていた場合には、使用者に対し上限50万円の罰金が課されることになります。

特定(産業別)最低賃金

「特定(産業別)最低賃金」は特定の産業に設定されている最低賃金であり、産業の労使が「地域別最低賃金」より高い水準で最低賃金を定めたほうがよいと認めたとき設定されます。

他の産業より高い水準を最低賃金とすることができれば、産業の魅力を向上させることにつながるでしょう。

もしも使用者が「特定(産業別)最低賃金」を下回る賃金のみ支払っていたときには、使用者に対し上限30万円の罰金が課されることになります。

20221月時点で、特定(産業別)最低賃金は全国で226件となっていますが、中には地域別最低賃金の水準を下回っているなど、有効に活用できていない産業もあります。

なお、特定(産業別)最低賃金は、産業ごとの関係労使からの申し出を受けた厚生労働大臣や都道府県労働局長が、改正が必要と最低賃金審議会に諮問し、必要とされたときに改正されることになっています。