埋立地・工場跡地・造成地などの土木工事では、様々な臭気が発生し近隣住民からのクレームを受けてしまうこともあります。
また、異臭の発生要因が塗料の場合もあり、特にシンナーなど有機溶剤が主成分の油性塗料を使うときには臭いがきついと感じる方が多く、クレームにつながることもあるようです。
さらにマンションやビルの建設工事で行うアスファルト防水工事では、アスファルトを加熱溶融するときの煙と独特のアスファルト臭の苦情も多く寄せられます。
もし工事による異臭で近隣からクレームなどがあった場合、どのように対応すればよいのか、クレームを受けないための対策について説明していきます。
・騒音は騒音規制法
・振動は振動規制法
・悪臭は悪臭防止法
とそれぞれ法律による規定がされています。
騒音と振動は自治体において条例などで規制基準が定められており、たとえば建設作業騒音は85デシベルを上限とするなど、作業のできない時間帯や1日当たりの作業時間などについても規定があるためその範囲で工事を行うことが必要です。
騒音や異臭などによる工事の差し止めや損害賠償請求については、受忍限度を基準として判断されます。
法律や自治体の条例などで規制対象が限定され、規制基準を下回るレベルによる場合でも、周辺住民にとっては生活や健康に支障を及ぼすリスクを高めます。
臭気などは素人で測定することも難しいため、規制基準を超えていない場合でも、次の項目や事情を総合的に考慮し、受忍限度を超えると認められれば、指し止めや損害賠償請求を可能としています。
・被害の程度や地域性
・被害者の年齢や職業
・健康の状況
・被害防止対策の有無
・被害の程度
救済措置のハードルは高く、立証することも容易ではないため、工事の中止を求められることはないだろうと安心するのは危険です。
マンションなど大規模建築物の建設では、施主と工事業者で「工事協定書」を結びますが、協定書には工事施工者は騒音・振動・臭気発生の最も少ない工事方法をとることなどが記載されます。
周辺住民の生活に影響を与える騒音・振動・臭気が発生したときには、工事を一旦中止し、原因の調査と除去に努めることも必要といえます。
たとえば防水工事では、アスファルトの溶融で過剰に温度を高くすると、白煙と強い臭いを発生させます。
溶融炉の温度管理を徹底して行うことが必要であり、近隣住民から苦情や問い合わせがあったときには、誠意のある対応をすることも必要です。