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公共工事の工事費を積算するときに用いられる労務単価とは?

2020.02.24
分類:リスク

公共事業における建設労働者の賃金単価を労務単価といいます。

この労務単価は、公共工事の工事費を積算する際に用いられますが、農林水産省と国土交通省による調査に基づいて決定されることになります。

この労務単価には現場管理費や一般管理費などの諸経費は含まれないのですが、含まれていると勘違いされることで建設労働者に支払われる賃金が低く抑えられるといった問題も発生しているようです。

労務単価を決める調査はいつどのタイムングが調査の対象に?

農林水産省及び国土交通省では、毎年、公共工事における労働者の県別賃金を職種ごとに調査しており、調査結果に基づいて公共工事設計労務単価を決めています。

この調査を公共事業労務費調査といい、調査月に調査対象となった公共工事を行った建設労働者の賃金について賃金の支払い実態を調べています。

調査対象となる工事は、独立行政法人や事業団などを含む都道府県、および政令指定都市等所管の公共工事です。

調査の対象となるのは10月の賃金で、平成22年度の調査からは38職種において9月の賃金も調査しているようです。また、平成24年度は5月の賃金も調査対象になるなど、必要に応じて任意の月についても調査しています。

 

調査対象となる労働者とは?

調査の対象となる月において、調査対象となる工事に従事した労働者が対象者となります。これは元請や下請などを問わず、51職種全ての労働者が対象です。

使用者が調製・保存している賃金台帳から請負業者が転記する方法などにより調査票を作成し、会場調査で調査票に記載された内容を照合・確認し、賃金の支払いにおける実態を把握するという形になります。

 

公共工事設計労務単価に諸経費などは含まない点に注意を

決められた公共工事設計労務単価は、公共工事の工事費を積算する際に用いられるものです。

そのため、決定された単価には、現場管理費となる事業主が負担する法定福利費、研修訓練などで発生した費用、一般管理費などの諸経費は含まれていません。

しかし実際の現場において建設労働者を雇用することにより、賃金以外の経費も含んだ金額だと誤解されていることがあるようです。

それにより、必要経費分を値引きするように強いられるなど、建設労働者が受け取るべき賃金が低くなるといった問題も発生しています。

このようなことから、建設労働者を雇用することで発生する事業主負担分の法定福利費、労務管理費、安全管理費、宿舎費などの経費について、公共工事設計労務単価に加算した金額も参考値として公表されています。