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工事現場に掲げられる「安全第一」というスローガンの意味とは

2022.08.22
分類:リスク

工事現場などでスローガンとして掲げられていることが多い「安全第一」という言葉は、特に危険な作業を伴う現場などで使用されています。

この「安全第一」というスローガンは日本で生まれたものではなく、第一だけでなく「第二」「第三」と続きもあります。

そこで、工事現場に掲げられる「安全第一」というスローガンの意味や、第一に続く言葉について説明していきます。

「安全第一」に続く言葉

工事現場に掲げられていることが多い「安全第一」というスローガンには、「品質第二」「生産第三」という続きがあります。

この続きの2つの言葉は、あまり日本では知られていませんが、もともとアメリカの企業で使われていたスローガンであることが理由です。

日本で主に使われているのは「安全第一」の部分のみで、工事現場や工場などでは「安全」と「第一」の間に緑十字を挟んだ「安全+第一」と表記されることがほとんどといえます。

このスローガンが工事現場に掲げられるようになり、労働災害による死亡者数は減少しているため、作業員の安全意識を強化することに役立っているといえるでしょう。

 

「生産第一」が「安全第一」に変化した理由

「安全第一」はアメリカの企業により誕生したスローガンですが、その背景にはアメリカが不景気だったことが関係します。

1900年代のアメリカは、働く環境は選ぶことができず、劣悪で危険な作業環境の中で必死に働く労働者がたくさんいました。

しかしそのような環境であるゆえに、労働災害に遭う労働者も多かったため、製鉄会社の社「USスチール」の経営方針「生産第一、品質第二、安全第三」が「安全第一、品質第二、生産第三」へと変更されました。

大量生産など生産最優先の考え方から、労働災害が多く発生することを問題視し、経営方針を変更したとされています。

この経営方針の変更により、会社や従業員の安全に対する意識も変わり、労働災害も減少したそうです。

アメリカにとってUSスチールはとても影響力が大きかったため、「安全第一」の標語がアメリカ全土に広がるようになり、そこから世界にまで拡大されて今の日本でも使用されています。

どのような職種や現場だとしても、生産性の向上や品質保持は当然大切なことといえますが、労働者の危険に配慮できない現場では安心して仕事ができません。

労災事故や過労死などが問題視されている今だからこそ、工事現場では「安全第一」に込められた意味を改めて重く受け止めることが必要といえます。