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建設工事でも見られることのある職業病とはどのような疾患のこと?

2020.05.22
分類:リスク
劣悪な労働環境が続けば、職業病と呼ばれる疾患などを発症することがあります。建設工事においても不安視される職業病はありますので、どのような疾患や状態を指すのか把握しておきましょう。

具体的に職業病とは?

職業病とは、特定の職業や業務に携わることによって発症しやすくなる疾患や状態を指しています。

業務上疾病と呼ばれることもありますが、たとえば石油精製や塗装で用いる化学物質が原因でがんを発症することや、トンネルの建設工事において粉じんを吸い込みじん肺を発症するケースなどが該当します。

 

職業病で多いのは?

業種や業務内容によって該当する職業病は異なりますが、多く見られるのが腰痛です。

厚生労働省でも、4日以上の休業を要する職業性疾病の約6割を腰痛が占めているとしているほど、多くの方が仕事による腰痛に苦しめられているようです。

腰痛を発症しやすい業務や作業には、重量のあるモノを取り扱う業務、長時間のデスクワークに立ち仕事、車の運転などです。

また、看護職や介護職など保健衛生業・医療保健業などでも腰痛を訴える方が多いとされていますが、これは患者や要介護者の体を支えることで腰に負担がかかりやすいからと考えられます。

 

職業病と労働災害の違いは?

職業病なのか、それとも労働災害なのか区別が難しいと感じる方もいるかもしれません。疾患によっては、職業病であり労働災害にも該当するケースもありますが、職業病と労働災害の違いとしては発症のタイミングやその原因が継続して行う業務にあったかによります。

労働災害は主に突発的な事故で発生した場合であり、発症のタイミングや条件などで労災として認定されないこともあります。

しかし職業病の場合は、たとえばチェーンソーなどを使う作業を長時間行ったことにより末梢血管や神経の障害を発症するなど、継続して行う作業や業務で少しずつ起きるケースを指しています。

疾患によっては初期の段階では自覚症状としてあらわれず、気づくと重症化や慢性化していることもあるのでより注意が必要といえるでしょう。

 

職業病を防ぐには?

職業病を予防するためにも、定期的に健康診断を受けることが必要です。

企業は労働安全衛生法により、社員に対し定期的な健康診断を受診させることを義務付けています。

そして労働環境の見直しなども検討が必要です。たとえば設備や作業方法を見直したり、防じんマスクや保護メガネを整備したりという、労働者が安心して働くことのできる環境整備を検討していくようにしましょう。