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住宅を建築する工事で隣家の外壁にひび割れが発生したら誰の責任?

2020.06.07
分類:リスク

住宅を建築する工事において、土地の造成で敷地に大きな石が埋まっていたとします。大きさのある石を破砕するためには重機などを用いることとなり、大きな振動などで隣家から壁にひび割れなどが発生しないものかとクレームを受けることもあるようです。

このような場合、実際に住宅にひび割れなど被害が発生してしまった場合は誰がその責任を負うのでしょう。

隣家の外壁にひび割れが発生したら?

一般的に工事を行う場合には、発注者や工事業者が振動の発生する工事が行われることを事前に隣家などに告げておき、工事中の振動などで影響が考えられなら隣地建物の外壁などの写真を撮影しておくものです。

地盤沈下など想定される場合には、地盤の高さを測量することもありますし、進めていく工事の内容と現況の写真を隣地に提示し説明をすることもあります。

このような段階を踏まず、工事が開始される前に隣家の住民が自宅の外壁の写真を撮影していて、工事における重機の使用で壁にひびが入ったという因果関係を立証してきたのなら工事業者が損害賠償責任を負うことになるでしょう。

隣家の外壁を補修することになったら

工事が原因で隣家の外壁にひび割れなどが発生したことが明確にされたのなら、いずれにしても補修は請負業者が請求されることになります。

その時、ひび割れに応じた適切な補修方法が行われ、補充した後で問題などが起きたらどのように対処するのかまで説明しておくことも必要となるでしょう。

発注者と被害を受けた隣家の関係が悪くなると心配されることもあるようですが、発注者にはよほどのことがない限り補修責任はありません。

そのため発注者として、工事業者に解決に向けて適切な対応を行うように求めてくることになるでしょう。

調査により原因を明確にするケースも

隣家の外壁に発生したひび割れが本当に工事により発生したものか立証できるかどうかが、工事業者が責任を負うかによる分かれ道といえます。

工事を行う前の写真がなければ立証は難しいので、ひび割れが起きている原因を調査するなら内部まで調べなければわかりません。

第三者などに調査を依頼する際には、その費用負担についても双方で話し合いを行うことが必要となるでしょう。

ひび割れが起きる原因は色々

たとえば鉄筋コンクリート構造物などの場合でも、年数が経過すればある程度のひび割れは避けることはできません。

目視観察で天井点検口やパイプスペースなどから構造躯体コンクリート面を観察することとなり、構造躯体の観察を直接行うことが難しいなら仕上げ面から観察することが必要です。

ひび割れが起きる原因は色々あり、構造ひび割れや不同沈下などの変形、乾燥収縮・劣化などでも発生します。