地球は十数枚のプレートという岩の板で覆われており、プレート同士がぶつかる付近では強い力が発生することで地震が起きます。
日本は4枚のプレートの境界上に位置することから、頻繁に地震が発生する世界有数の地震大国ですが、建設業界でも重要となる建築基準法の耐震基準は過去の巨大地震発生による被害や経験をもとに何度も改正されています。
建築設計という視点から地震を考えるのなら、揺れの大きさを示す震度と揺れの周期が重要です。
建物には揺れやすい周期があり、地震の揺れの周期と一致して共振すれば、被害も大きくなってしまいます。
揺れの周期による地震の種類は、
・0.5〜1.0秒のもの…短周期地震動
・1.0〜2.0秒のもの…やや短周期地震動
・2.0~5.0秒のもの…やや長周期地震動
・5.0秒以上のもの…長周期地震動
と分けることができます。
住宅や小規模から中規模の建築物はやや短周期地震動のときに大きな揺れを起こしやすく、高層建築物は長周期地震動の影響を受けやすいとされています。
建物を地震から守るのためには、耐震構造・制振構造・免震構造という3種類の構造を知っておくことが必要です。
それぞれどのような構造となっているのか、その内容を把握しておきましょう。
主架構である柱・梁・壁の強さと硬さによって地震に耐える構造であり、地震のエネルギーが直接建物に伝わることが特徴です。
小規模な住宅から高層の建物まで、広く採用されている構造形式といえるでしょう。
建物内に制振部材(ダンパー)を配置し、地震エネルギーを吸収することで主架構に伝わる地震エネルギーを抑えるという構造です。
耐震構造よりも地震による建物の揺れや変形を抑えることが可能です。
建物と地盤を切り離して浮かし、ダンパーで地震エネルギーを吸収するという構造です。
建物と地盤の間の免震層で地震エネルギーを吸収することとなるため、建物の損傷をより軽減させることができます。
地震が起きたときの建物の揺れが緩やかになるため、近年大規模建築物でも多用されるようになっています。
性能設計とは、顧客が求める性能を定めて実現させる設計であり、地震後にどの機能を確保したいのか、機能を確保するために何が必要なのか目標を定めていきます。
構造躯体だけでなく、非構造部材の安全性や必要な電力やライフラインなどをどのように確保するかについても検討していくことが特徴です。