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建設業者や下請け業者が生産物賠償責任保険で備える理由とは

2021.07.04
分類:リスク

建設工事ではいろいろな会社が数多く関係することになりますが、そもそも建設業界は重層下請構造が主流となっているため、複数の下請けが関係することでその分リスクが大きくなると認識しておくべきです。

たとえば工事が完了した後、施工した完成物で不具合が発生したことで利用者がケガを負ってしまったときには、建設業者や下請け会社が賠償責任を負わなければなりません。

このような事態に備えるためには、生産物賠償責任保険(PL保険)へ加入しておくことが一般的とされていますが、工事に関係する建設業者や下請け業者などが加入しておく賠償責任保険の1つがPL保険です。

請負業者賠償責任保険だけでは不十分?

賠償責任のリスクに備えるため、工事業者の多くが請負業者賠償責任保険などへの加入を検討する経営者がほとんどでしょう。

工事中の事故などに広く補償してくれる損害保険なので、加入しておけば頼りになると考えがちですが、実際には請負業者賠償責任保険だけでは不十分なこともあります。

たとえば工事中の事故で第三者に対する補償を行うのが請負業者賠償責任保険であり、工事後の完成品で発生した不具合により第三者がケガを負ったときには補償されないからです。

看板を設置した後でその看板が落下し、歩行者にケガを負わせ後遺症が残ったときや、工事施行後の完成物にすぐヒビが入り倒壊してしまい、顧客の物を壊してしまったというケース。

施工後に不具合が発見されたとき、生産物賠償責任保険に加入していれば引き渡し後の第三者に対する損害にも補償されるので安心です。

 

リスクの高い仕事だからこそ備えが必要

単なる不具合なら工事を再度行えばよいのかもしれませんが、施工ミスなどで工事部分の倒壊・落下が起き、第三者がケガを負えば高額な賠償責任を負わなければなりません。

完成物を引き渡した後で壊れてしまい、第三者がケガを負ったときや物損事故が起きたときに備えるための保険が生産物賠償責任保険といえます。

構造物の倒壊や落下、施工後の配管ミスによる一酸化炭素中毒など、被害が大きなものとなったとき、仮に物損事故でなら被害額はそれほど大きくなかったとしても、人の事故で後遺症や死亡という事態に発展すれば数千万円や数億円の慰謝料を負担しなければならなくなります。

万一に備えておくため、必要とされる賠償責任保険には加入しておいたほうがよいといえるでしょう。