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建設工事中の建物が損壊したときの責任は誰が負うことになるのか

2021.07.23
分類:リスク

建築工事中の建物が、たとえば台風による強風で損壊した場合、その責任は誰が負うことになるのでしょう。

建設工事業者も施主もどちらも不安な部分だと思いますので、建設工事中の建物や材料が損壊してしまったときの責任の所在についてご説明します。

建設工事中の建物や材料の損壊は施工会社の責任に

民法第400条には、

「債権の目的が特定物の引渡であるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。」

と善管注意義務について規定されています。

そのため、建築中の建物が損壊してしまったとき、その建て直しにかかる再建築費用は請負業者である施工会社が負担しなければなりません。

請負者は十分に注意して建物や材料を保管し、引き渡しすることが必要ということです。

台風が発生し材料が使えなくなったとき

台風が発生したことで材料が水浸しになり、使い物にならなくなったという場合はどうでしょう。

自然災害の中でも台風は、地震と違って通過や陸の予想がある程度、前もってできます。

そのため、台風により材料が濡れてしまわないようにカバーをかけたり移動させたりといった対応は可能です。

それらの対策を何もせず、台風被害に遭い使い物にならなくなったのであれば、善良な管理者としての注意義務を怠っていたと判断されます。

損壊した材料は請負業者である施工会社が責任をもって取り替えることが必要です。

石膏ボードなどが雨で損壊したときは?

石膏ボートなどは水に弱い材料のため、雨に濡れると使い物にならなくなってしまう可能性があります。

そのため、雨が予測される場合には簡易な養生だけで放置することは避けるべきですが、対策を怠り雨で損壊させた場合には、やはり善良な管理者としての注意義務を怠っていたと判断され賠償責任を負うことになると考えられます。

 

建物の引渡し後の責任は?

工事が完了し、建物を引渡した後で発生した火災や災害などによる損壊は、施主自身が負担しなければなりません。

そのため、施工会社の引渡し日に合わせて、今度は施主が火災保険に加入するといったことが一般的です。

建物がマイホームの場合、入居する日に保険の始期を設定すればよいと考える方もいるようですが、引渡し日から引越し日までの間に自然災害などで家が損壊しても補償されなくなってしまいます。

施主が火災保険に加入するときの保険始期は、物件を引渡しされる日からにしておくことが大切です。