建設工事現場は労災事故が発生しやすい環境にあるといえますが、もし事故が起きたときには誰が安全配慮義務違反を問われ、責任を負うことになるのでしょう。
作業員が事故で被災したとき、注意力が散漫だったことを理由に作業員が責任を負うのかといえばそうではなく、働く場所を提供した企業の安全配慮義務違反を問われる可能性が高いといえます。
作業員が事故を起こしたのは、企業が職場の安全に配慮できていなかったからと判断されるからです。
しかし建設工事現場にはいろいろな作業員や技能者、専門職などが入退場します。
そのため、たとえば下請の労働者が事故で被災したとき、その安全配慮義務を負うのは誰なのかわかりにくいといった問題が起きてしまいます。
下請の労働者が事故で被災したとき、安全配慮義務は誰が負うことになるかというと、それぞれの企業・団体です。
発注者は元請に対し伝える施工や工期などの条件は、労働安全衛生を損うことのない内容でなければなりません。
元請から下請に仕事が発注されたときには、下請が労働安全衛生法令に違反しないように、元請が適切な指導を行う必要があります。
さらに元請と下請は互いに協力し合い、労災防止のための組織を発足させることも必要ですし、下請は労働者に対し安全衛生教育を受ける支援を行わなければなりません。
機械の安全対策
足場や通路の安全対策
危険・健康障害防止対策
労働者への安全衛生教育
などを実施する義務があることを忘れないようにしましょう。
発注者・元請・下請、それぞれが安全配慮義務を怠ったことで下請の作業員が事故で被災したときには、発注者・元請・下請に民事上の賠償責任が発生します。
民法では元請と下請は安全衛生管理により、労働者を守る安全配慮義務があるされています。
安全配慮義務を怠ったことにより労災事故が発生し、それにより被災した作業員が出れば、元請と下請どちらも賠償責任を負わなければならないのは当然のことです。
さらに発注者の責任についても定めがあり、発注条件に過失があれば賠償責任を負うことが必要とされています。
そのため被災した作業員から、発注者・元請・下請それぞれに対し、損害賠償が請求されることがあるということです。
建設現場での危険な仕事を作業員にさせる以上は、徹底して安全配慮義務を守るようにしてください。