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建設工事現場で請負事業者が委託した下請業者作業員を作業に従事させる偽装請負とは

2022.01.05
分類:リスク

実態は労働者派遣や労働者供給なのに、労働者派遣事業の適正な運営の確保や労働者派遣法の規制を免れるため、請負契約・準委任契約・労働者派遣以外の名目などで契約を結ぶことを偽装請負といいます。

たとえば建設工事現場で、請負事業者が委託した下請業者の作業員を作業に従事させるケースなどですが、具体的にどのようなことなのか説明していきます。

そもそも請負とは?

請負とは、注文者が請負業者に対し、仕事を完成してもらうことを目的に作業を委託し、完成させたことに対し報酬を支払うことを約束する契約のことです。

請負事業者である建設会社の労働者は、請負事業者の指示・命令に従い作業を行うことになるため、工事の注文主が労働者に直接指示をするわけではありません。

この請負に対し労働者派遣の場合には、派遣元事業主が雇用している労働者を、派遣先事業者へと派遣します。派遣された労働者は、派遣先事業者の指揮・命令により労働に従事してもらうことになります。

 

偽装請負とはどのようなパターンか

偽装請負とは、実態は労働者派遣なのに労働者派遣法や職業安定法などの規制を免れることを目的に、請負契約や準委任契約など労働者派遣以外の名目で契約を締結することです。

建設業務では労働者派遣法で労働者派遣事業が禁止されており、注文主との間に指揮・命令関係があると認められるときには、たとえ請負契約という名目で契約を締結していても労働者派遣法の適用を受けることがあります。

典型的といえる偽装請負のパターンは、請負といいつつも注文主が労働者に対し、業務についての細かい指示を出していたり出退勤や勤務時間の管理を行っていたりというケースです。

工事現場には責任者を形式だけ置き、注文主の指示をその責任者が労働者に伝えるというケースも偽装請負のパターンといえ、実態は注文主が指示している状態にあるといえます。

他にもABCという業者がおり、ABに仕事を発注し、Bはさらに別のCにその仕事を発注するというケースです。

Aの現場に行くのはCに雇用されている労働者であり、ABから指示を受けながら仕事を行うといったケースが偽装請負に該当します。

 

偽装請負が行われる理由

偽装請負が行われるのは、

・労働基準法等が適用されずに最低賃金規制・割増賃金支払い・有給休暇付与などの義務を免れるため

・健康保険・年金・雇用保険などの保険料負担義務を免れるため

といったことが関係しているといわれていますが、法令に触れる違反行為なので行わないようにしてください。