労働安全衛生規則などには、工事現場ではヘルメットを着用する義務が規定されていますが、もし守らずに労災事故が起きても支給対象から外される可能性があります。
また、制限などを受け、賠償額が減額されることもあるため、必ずヘルメット着用義務は守ることが大切です。
そこで、工事現場ではなぜヘルメット着用の義務があるのか、その理由について解説します。
建設工事現場は危険な作業が多く、頭上から物が落下してくる可能性が否定できない場所などもあります。
そのため万一、モノなどが墜落したときに作業員の頭部を保護するためにも、ヘルメット着用が義務づけられています。
高所で作業するときにも、作業員が墜落してしまったときに備えて、頭部保護の目的でヘルメットを着用しなければなりません。
労働安全衛生規則では、ヘルメットの着用について労働者と使用者のどちらにも義務付けています。
落下物が落ちてくる可能性がある状況で作業をしているときや、作業員本人が落下する恐れのある高所などでの作業を行うとき、着帽指示を怠った使用者と着帽しなかった作業員のどちらも安全配慮義務違反とされるため注意しましょう。
労働安全衛生法では着帽に関する義務・規則を、使用者と作業員(労働者)のどちらにも定めていますが、工事用のヘルメットの着用についての規定は次の規則や通達に記載があります。
・労働安全衛生規則
・クレーン等安全規則
・厚生労働省の行政指導通達
まず「労働安全衛生規則」では、
・不整地における5トン以上の運搬車の荷の積み下ろし作業
・5トン以上の貨物自動車から荷物を積みおろし
・建設の工事現場でジャッキ式の吊り上げ機械を使って荷物の吊り上げ・吊り下げ作業
・型わく支保工の組立作業
・地山の掘削作業
・明り掘削作業
・土止め支保工場
など、他にもいろいろな作業において着帽することを定めています。
次に「クレーン等安全規則」では、
・クレーンの組立・解体作業
・移動式クレーンのジブ組立・解体作業
・デリックの組立・解体作業
・屋外に設置するエレベーター昇降路塔またはガイドレール支持塔の組立・解体作業
・建設用リフトの組立・解体作業
の際に着帽しなければならないとしています。
最後に厚生労働省の「行政指導通達」では、
・コンベヤ・フォークリフト・ショベルローダ・移動式クレーン・ダンプトラックなどの機械を使用する作業
・刈払機の刈刃破損・反発・および転倒による災害を防ぐとき
・夜間にストラドルキャリヤーの稼動区域内での作業を行うとき
・ごみの積替え作業・焼却時の撹拌作業
などのときに着帽するよう定めています。